憧れであり、師匠のフィリップ・デュフォーさんと

日本の伝統工芸を取り入れた作品を作りたい


――フィリップ・デュフォーさんといえば、独立時計師の最高峰の方ですね。

時計の修理技術の勉強をしていた時、TV番組の企画で憧れのデュフォーさんに会う機会を得ました。彼の元で2日ほど時計製作の心得を教えてもらい、修理ではなく製作に進もう、と。同時に菊野くんが日本で最初の独立時計師として製作を生業としていたのにも背中を押されましたね。

――卒業されると同時に独り立ちしたのでしょうか?

外資系のメーカーに入ることを目標にしていましたが、就職活動の時にリーマンショックが起きてしまって。その影響で希望する求人がなかったのもあり、独立の道を選びました。もちろん、独立していきなり活躍できるわけではありません。オリジナルの時計を作っている「ドッペルコーポレーション」という機械式腕時計専門店を紹介してもらい、学生時代の作品を見せたら時計製作の環境をサポートしてくれることになりました。その3年後くらいに「ドッペルコーポレーション」とコラボしたモデルを20本作り、そのうちの2本を今回の受注会で販売します。

「ドッペルコーポレーション」とコラボレーションしたモデル

――今後どのような時計を作りたいですか?

伝統工芸も時計もニッチな世界。自ら発信していかないとどんどん衰退していくので、日本の伝統工芸を積極的に取り込んで、相乗効果のある作品を生み出したい。例えば海外の高級メーカーではケースにサファイヤガラスを採用しているモデルがあるので、江戸切子でケースを作れないかな、とか。他にも気になる伝統工芸はありますし。

牧原さん愛用の工具

独立時計師はメーカーが思いつかない時計を作るのが使命なので、誰もやっていない時計を作りたい。デュフォーさんは最初に超複雑時計を発表したあと、「シンプリシティ」という一生使える飽きのこないモデルを作っています。自分なりの方法で、将来はその境地に行き着きたい。そのために、まずが2019年3月に開かれるバーゼルエキシビションに独立時計師の候補生として初出展する予定です。ここで認められて、独立時計師となるのがひとまずの目標ですね。

Text:Chika Tsushima

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