2016.05.18 update

【インタビュー】<FACTOTUM/ファクトタム>ポップアップ開催|有働幸司が語る「服作りの楽しさと苦しさ」(後編)

5月18日(水)より、メンズ館2階=インターナショナル クリエーターズでポップアップを開催する<FACTOTUM/ファクトタム>。デザイナー有働幸司さんは熊本県出身で、ふるさとの話から、ファッションの原体験などの話を伺いました。


迷惑をかけずに、しっかりした仕事をしていくこと

――有働さんは熊本県ご出身ですよね。熊本地震は大丈夫でしたか。

ありがとうございます。自分の実家は熊本県の北部で被害はなく、前震の次の日に連絡が取れましたが、妹が震源の益城町にいて、地震の恐怖心で自宅では寝られないようです。生活水の確保にも苦労しているようですね。

――今回の熊本地震はどう受け止められましたか。

日本は自然災害の多い国で、今もし東京に地震が来たら一体どうなるのかなというのは考えますね。でもそれでビビっていたら何もできなくなります。3・11のときもそうでしたが、こうやって自分たちが好きな仕事をして生活できている幸せな状況を改めて認識していますね。今回は実際に家族や親戚が被害にあっていて、必要なモノを送ったり、せめて自分のできる範囲で支援していますが、仕事に関しては、私たちは工場や生地屋などともチームなので、迷惑をかけずにしっかりした仕事をしていくことが、今自分たちにできることだと思って取り組んでいます。


自然にファッションに興味を持って、東京の服飾学校へ

――有働さんは高校まで熊本だったんですよね。

九州は長崎があって外来モノに強い地域性があるのか、熊本では、私より上の世代の人には、有田正博さんの伝説的インポートショップ「ブレイズ(現パーマネントモダン)」など感度の良い店が数店舗あり、私たち世代には、ビームスやパルコができたり、アメリカンカジュアルの店があったり、DC(デザイナーキャラクター)ブームがあったりと、さまざまな洋服を楽しめました。

――熊本人はファッションに対して進取の精神があるように思います。

デザイナーやスタイリストなど業界人も多いですしね。確かに熊本人は、人と違った格好をしなきゃとか、それぞれが個性を出さなきゃという感じはありますね。


――有働さんのファッションの原体験を教えてください。

中学時代はスポーツブランドのジャージでしたが(笑)、高校に入って、お金はなかったけど服を見に行くのは好きでした。自分のおこづかいで買える範囲だと古着屋で、<リーバイス>501のユーズドに、<ヘインズ>のパックT、<コンバース>のオールスターのような格好をしていましたね。あと、ビームスで<ラコステ>のアイゾットを買って、<クラークス>やトラッドなレザーシューズを履いたり。DCはちょっと高くて、セールで買った記憶はあります。

――それでファッションに進もうと思ったのですか。

高校を卒業して特に何をやりたいか決まってなくて、単純に東京に出たいと。それで、服が好きなら専門学校にしようと、東京モード学園に入りました。学校の見学のときが初めての東京でした。


服を作るときの楽しさと苦しさ

――昔の話をありがとうございます。現在は3つのラインを手がけていて、デザインは大変ですよね。

服のデザインを考えるときは、本を読むのと同じ感覚で集中できるのでとても充実した時間です。今でも楽しいですね。逆に苦しいときは、デザインして、サンプルを作っても、中には生産できないものがあるとき。ノームコアなど世の中の風潮もあって、デザイン性の強いものは敬遠されがちで、デザイナーとして残念だなという思いもあります。そういう気持ちを次にどう生かせるかが、今の自分の課題ですね。

<ファクトタム>プロモーション
□5月18日(水)~5月24日(火)
□メンズ館2階=インターナショナル クリエーターズ


*価格はすべて、税込です。

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