2016.04.10 update

【対談】いであつしと綿谷 寛が語り合う、「みんな好きでしょ?ラコステのポロシャツ」(1/2)

4月13日(水)から伊勢丹新宿店がフランス色に染まる「フランスウイーク」がスタートします。メンズ館1階=セーター・カジュアルシャツでは、<LACOSTE/ラコステ>のポロシャツをクローズアップし、現在日本で展開しているすべてのカラーのポロシャツが揃います。さらに、4月16日(土)13時~17時に、コラムニストのいであつしさんと“画伯”綿谷 寛さんが、一日スタイリストとして店頭に登場。実際にお客さまにスタイリングアドバイスをします! イセタンメンズネットでは、お二人の登場に先立って、<ラコステ>を語っていただきました。



いであつし
コラムニスト。1960年静岡生まれ。中学2年生のときに『MADE IN USAカタログ』を立ち読みしてアメカジに開眼。以来、気がつけばアメカジ歴30余年。『Begin(ビギン)』『Men’s EX(メンズ・イーエックス)』などでコラムを連載中。2006年にスタートした『Begin』の人気連載「ナウアール」「ナウのれん」にスペシャル企画を加えた全57話をまとめた綿谷 寛さんとの共著、ビッグマンスペシャル『Begin特別編集“ナウ”のトリセツ』発売中。


綿谷 寛
イラストレーター。1957年東京生まれ。愛称は“画伯”。 1979年、雑誌『ポパイ』よりイラストレーターとして活動。以後『メンズクラブ』をはじめとして数多くの男性誌に寄稿し、とくに1950~60年代黄金期のアメリカン・イラストレーションを継承したタッチで描く正統派のメンズファッション・イラストで人気。クラシックな男の装いについても造詣が深い。一方、コミカルなタッチのイラストと文による体験ルポも人気を博するなど、多彩な顔をあわせもつ。

初めて買った<ラコステ>の思い出


いでさんと綿谷さんという思わずニヤリとする対談に、ご自身所有のラコステを約20枚持って登場していただいたいでさん。「一番古いのはこのフレンチラコ(ステ)かな?」と対談スタート。

いであつし
今日は自分の家にある<ラコステ>を持ってきたけど、みんなも持ってるでしょ、アメカジ世代は。一番古いのは高校生のときに買ったフレンチラコで、同じ頃にアメリカ製のアイゾッドラコステも買いました。アイゾットは後ろ身頃が長いんだよね。
綿谷 寛 当時は本家がフレンチラコで、アメリカ製がアイゾット、日本製は大沢商会の<ラコステ>で、ワニの中に“Lacoste”の文字入りだったよね。文字が入っていないのがフランス製と覚えていた。


いで  高校の頃はワンポイントって実はダサいイメージがあったんだよね。雑誌『ポパイ』(1976年・昭和51年創刊)の5号か6号かで、当時の編集者の松山猛さんが北村勝彦さんのスタイリングで、黒の長袖の<ラコステ>にグレーのパンツ、それに<アディダス>のスタンスミスか<クラークス>のデザートブーツを履いて体育座りしていた写真があって、それがフレンチラコだったの。それで『ポパイ』が発売されて、東京中の<ラコステ>が売れ切れて、黒は当時珍しかったからフレンチラコが注目されるようになった。ワンポイントはダサいって思ってたから、みんな驚いたね。僕はそれから1年ぐらいして下北沢のインポートショップでフレンチラコを9800円ぐらいで買った。アイゾットは6~7800円だったかな。
綿谷 僕は高校がテニス部で、最初<クロコダイル>を着ていて、そのあと日本製の<ラコステ>を着てたんだけど、部活の先生がアメ横で買った、ワニの中に文字のないラコステを着ていて、「さすが社会人だな」って思ったね(笑)。高校生だからフランス製は買えなかったなぁ。人生でフレンチラコを買ったのは1着だけ。
いで   あの当時は”ニート”に着てたんだよね。今のニートとは意味が違って、当時は、「さっぱりした、きちんとした、きれい好きな、均整のとれた」とかの意味で使っていた。



ポロシャツは時代によって着方が変わる!

綿谷  10年ぐらい前、いでくんと知り合いとたまたま<ラコステ>を着ていて、スナックのカウンターで3人並んだら、「ワニ関係の協会の方ですか?」って言われたよね(笑)。
いで あったね、そんなこと。夏場の取材は困ったときのラコステだよね。
綿谷 この前、YouTubeでザ・フォーク・クルセダーズを見ていたら、加藤和彦がポロシャツを片方襟立ちで着ていて、オッ!って思った。
いで ポロシャツは着方の流行り廃(すた)りがあるね。昔はアイゾットのエンジ色がサーファーに人気だったり、「ポロシャツのボタンを留めずに胸元をVに開けて、ちょうちん袖をぱつんぱつんで着なさい」と言われたり、何度も洗ってしらっちゃけた襟がカッコイイとか、ラコステブームのときは、ぴしっとした襟がよかったり、僕は違うと思ったけど、ポロシャツのボタンを全部留めて下にTシャツ着るとかね。



ポロシャツ=ジーンズ論

綿谷  ちょうちん袖がみっちりなるには、二の腕が相当しっかりしてないとダメだね。
いで  ポロシャツはラグビー選手のように体格が良い人の方が似合うと思う。お腹だけ出た中年太りはダメだけどね。
綿谷   おしゃれアイテムとして考えると、ジーンズと一緒で、買ってから着るタイミングが意外と難しいんだよね。新品だときちんとしすぎるし、くたくたすぎるとカジュアルすぎるし、新しい/くたくたの程よい感じの見極めが難しい。襟が難しいんだよね。
いで    昔のイタリア映画のバカンスモノを観ると、ベルトレスのパンツにポロシャツの裾を入れて着たりしているけど、あれは日本人には難しいよね。
綿谷  僕たちの世代はフレンチラコには思い入れがあるけど、いでさんの持ってきた<ラコステ>を見て思うのは、30年経ってもまだ着られるという点ではジーンズと同じ。なかなか捨てられないよね。

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