【インタビュー】<MIGLIORE/ミリオーレ>岡本 良夫|愛してやまない、イタ飯の店で(1/2)

岡本良夫が対談場所に指定したのはトラットリア・ピッツェリア・バール・サルヴァトーレ。骨の髄までイタリアンな岡本が手放しで褒めちぎる、中目黒にある名店である。店長の江頭辰夫とオンワード樫山の茂木洋とともにワインを口のなかで転がしつつ、座談会ははじまった。

左/トラットリア・ピッツェリア・バール・サルヴァトーレ店長 江頭辰夫、中/オンワード樫山 茂木洋、右/スティービー店主 岡本良夫


365日イタリアン

茂木 ぼくも何度も連れてきてもらっているサルヴァトーレ。今日はこちらで店長の江頭さんとともに岡本さんのルーツを探るのがテーマです。
岡本 たいした話はないよ。まずはワインを呑もうよ。
茂木 いきなり煙に巻く。
岡本 チンチン!
茂木 (苦笑しつつ)覚えていらっしゃるかどうか、ぼくの初サルヴァトーレは花見の季節でした。ここは目黒川の桜が一望できる一等地で、もちろん予約で一杯。岡本さんの政治力です(笑)。何年かよっているんですか。
岡本 オープンほどなくからですね。知人の紹介で、かれこれ20年。むかしは銀座とか、赤坂とか、それぞれのエリアにお気に入りの店があったけど、いまではイタ飯といえばここばかりになってしまった。
茂木 旨いですからね。なんていったって、本場ナポリのピッツァ大会で何人もの入賞者を輩出しているナプレグループの一号店。


岡本
それはそうだけど、ぼくがかようのは店の雰囲気があってこそ。
江頭 お褒めいただき、ありがとうございます。しかし、はじめのうちは怖かったですね。メニューに見向きもせず、いきなり今日仕入れた材料を聞かれ、そこから料理を決めていくんですから。難題を突きつけられるたび、友人知人のイタリア人の叡智を結集した(笑)。
岡本 スカモルツァを焼いたのもそうだよね。
江頭 専用のココットも用意しました。だけど、食べるのはナポリのスタッフくらいで注文は出ない(笑)。
岡本 美味しいのにね。
茂木 合わせるワインはシチリアなどの南伊のものがお好きですね。
岡本 北のワインは繊細で、ガッツリした料理に合わないからね。


江頭 岡本さんの嗜好をとおして、わたしの世界もずいぶんと広がりました。
岡本 ぼくは店も一緒に成長してもらいたいって思っている。ワインは呑まないとわからないし、服は着ないとわからない。女性との付き合いにもいえる、深遠な格言です(笑)。
茂木 (笑いを抑えつつ)食後酒の品揃えが増えたのも岡本さんのリクエストとか。
江頭 グラッパなどオーソドックスなものしかなかったんですが、いまでは20種を超えています。でも、やっぱり頼むのは岡本さんくらい。悪くなるものではないけれど、いっぱい呑んでもらわないと困る(笑)。


茂木
年中イタリアンだそうですが、飽きないんですか。
岡本
まったく。イタリアに住んでいるころも、自分で日本料理の店にいこうとは思わなかったからね。最近こそ減ったけど、日本にベースを移してからも年に5回はイタリアへ遊びにいったもんです。
茂木
ご自宅にもかなりのワインがあるとか。
岡本
コレクターじゃないからガンガン空けちゃうけど、それでもいまも40本近くあるんじゃないかな。とくに赤ワインは仕上げに欠かせない。
江頭
どんな流れで呑るんですか。
岡本
夏ならスコッチの水割りを2杯呑って、チーズやオリーブオイルのトマトで赤ワイン。その合間に雲海を少々。
茂木 雲海が入るんですか(笑)。

Text:Takegawa Kei
Photo:Fujii Taku