【Fun to Dress vol.2】 サヴィル・ロウのパンツ職人に由来する<ドラマーズ>とは?|伊勢丹新宿店 メンズ館 メイド トゥ メジャー


伊勢丹新宿店 メンズ館5階 メイド トゥ メジャーはこの春、ウィークエンドを視野に入れたアイテムを充実させました。目玉となるのが、パンツブランド<ドラマーズ>。担当バイヤーの谷口雅樹、店頭スタイリストの山形典亜、そして生産を一手に引き受ける長野アルプス社の清沢和弘社長がその魅力を掘り下げます。


ライフスタイルを網羅するメイド トゥ メジャーへ


谷口:メイド トゥ メジャーはおかげさまで目の肥えたお客さまのあいだですっかり浸透しました。よりこだわったスーツをつくりたいというニーズにはそれなりに応えられているのではないか。そのように分析しています。これを踏まえ、次のステージにご用意させていただいたのがボーダーレス化したシーンにフィットするスタイル、アイテムの数々です。

谷口雅樹
伊勢丹新宿店 メンズ館5階 メンズテーラードクロージングバイヤー

谷口:ひとつがドレスアップしたい日のスーツ。同じスーツでもウールからデニムに──といった具合に服地を変えただけで印象はまるで違ったものになってきます。

──世界中のバンチ(服地の見本帳)が揃い、細かく仕様変更ができるメイドトゥ メジャーですから、これまでの仕事着とは異なる切り口でスーツをつくることもお手のものですね。


そしてもうひとつがよりウィークエンドを意識したラインナップ。その先陣を切ったのが今回ご紹介させていただくパンツブランドの<ドラマーズ>です。

ありそうでなかった、大人の週末パンツ


<ドラマーズ>はクラシカルなものづくりをベースに、クラシカルな意匠を取り込んだパンツ。ただし、ディテールや素材選びによって大きく顔を変え、いわゆるスラックスとも、チノーズのようなカジュアルなパンツとも一線を画す、ドレスとカジュアルを横断するパンツです。

──いま穿かれているのが<ドラマーズ>ですね。


谷口:すでに納品されていたのですが、この撮影の為におろしたかったので今日まで穿くのを我慢していました(笑)。こだわりはノープリーツのワイドパンツ。プリーツ入りはいくらでもありましたが、ノープリーツというのが新鮮にして上品です。5㎝のマーベルト(帯幅)、やはり存在感のある持ち出し、脇尾錠というクラシックなディテールと相まって、大人の風格を漂わせます。

──ディテールには遊び心があるけれど、すべてはクラシックから抽出されたものなので大人が穿いてさまになる。ありそうでなかったこのパンツは、ウィークエンドはもちろん、ウィークデーの一本としても活躍してくれそうですね

谷口:細部にわたる見どころは、店頭スタイリストの山形と長野アルプス社の清沢社長にも加わってもらって解き明かしていきましょう。


手仕事ありきのものづくり


──<ドラマーズ>というブランドの見どころを教えてください。

左:山形 典亜
伊勢丹新宿店 メンズ館5階 メンズテーラードクロージングショップスタイリスト Instagram:@yamagata_nori
右:清沢和弘氏
長野アルプス株式会社 社長

山形:なにはさておきご注目いただきたいのはまずは帯幅です。我々はこのパーツに3㎝、4㎝、5㎝という3つのバリエーションを用意しました。

清沢:オーダーメイドのパンツはそれこそ数多く手がけてきましたが、帯幅を複数用意するケースはこれまでありませんでした。

山形:クラシックな雰囲気を演出するのに欠かせない部分ですからね。そこはぜひ形にしたかった。

*画像は5センチの帯幅

清沢:熱意を感じて二つ返事で引き受けましたが、いざやるとなるとかなり神経を使う部分でした。理由は管理が煩雑になるからです。工場のラインはいかに効率的に流すかが肝要ですからね。

山形:<ドラマーズ>はノープリーツ、ワンプリーツ、ツープリーツの3つをベースモデルとしていますが、なかでも注目はツープリーツにラインナップしたキッシング(ボックス)プリーツ。これぞクラシックの極みです。

清沢:この注文も<ドラマーズ>がほとんどはじめてですね。


山形:それと3㎜幅の玉縁。一般には5㎜です。

清沢:これは工場の顔として打ち出してきた自慢のスペックです。比べれば一目瞭然ですが、その玉縁はこよなくエレガントです。

大差ないようにみえて、つくる側にしてみれば2㎜の差はとても大きい。許容範囲が狭まった分、縫い代を揉み出すのも縫うのも難易度があがります。そして失敗すれば身頃全体がパーに。ぼくも50枚に1枚はしくじります。

*クラシックの極み キッシング(ボックス)プリーツ
*難易度の高い3㎜幅の玉縁
 

──いまさらりといわれましたが、清沢さんも現場に入られているんですか。

清沢:ええ。打ち込みの強いコットンや動きのあるリネンは少々やっかいですから。

──谷口さんが穿いていらっしゃるのもコットンですね。それにしてもおろしたてとは思えないほど素晴らしいヒゲ(脚の付け根のシワ)が刻まれています。

谷口:選んだ服地の賜物です。これだけ地厚だと、ヒゲもきれいに入ります。

──服地選びはメイド トゥ メジャーの醍醐味ですね。ほかにつくってみたい服地はありますか。

谷口:オンタイムなら山形が穿いているシアサッカー、秋以降を考えるならキャバリーツイルやぬめり感のあるコットンカシミアあたりですね。


──山形さんのリクエストでメニューに加えたスペックがあるとうかがっています。

山形:片倒しというボトムの脇の仕様です。縫い代を割らずに一方に倒しているので脇に沿って凹凸が生まれます。デニムなどのカジュアルなパンツにポピュラーな仕様なんですが、このパンツに合うと思って。これだけはオプション料(4,400円)をいただいています。


──これだけは、ということは先に挙げたスペックはオプション料が発生しないということですね。むしろそのことに驚きました。いずれも職人技なしには成立しないスペックですから。そもそもの本体価格もお手頃。3万円台からあるんですよね。ヘタな既製品より安い。

谷口:ひとりでも多くの方々に知ってもらいたいという思いで“適質適価”と真剣に向き合いました。


サンプルゲージを穿いただけで驚くポテンシャル


──〈ドラマーズ〉は後ろ姿がまた美しいですね。腰からヒップにかけてのシルエットはまるで吸いつくようです。

山形:それはひとえに試行錯誤を繰り返してたどり着いた長野アルプスの型紙、そして手仕事の妙です。お客さまからもメイド トゥ メジャーの域を超えているとのお言葉をいただいております。


山形:前腰(骨盤がやや後傾な日本人体型)を踏まえたパターンも秀逸の一言です。前を長く、後ろを短く採ったそのパターンにより、イヤなシワが入りにくいんです。

──ていねいにくせ取りをした筒のシルエットも申し分ありません。

清沢:長野アルプスは古き良き生産体制が評価された工場ですが、<ドラマーズ>は通常の3割増で手の仕事が入っています。

山形:そういうものづくりに敬意を評して、我々は<ドラマーズ>と名づけました。「ドラマーズ」はサヴィル・ロウでパンツ職人のことをいうんです。職人魂が込められているブランドなのでぴったりだろうと思いました。

──ブランドがスタートしてからお客さまの反応はいかがですか。

山形:おかげさまでたいへん好評です。サンプルゲージを穿かれただけでお客さまは例外なく目を見開かれますし、納品のときに次の一本をオーダーされる方も少なくありません。

激動の昭和を生き抜いた長野アルプス


谷口:ぼくらバイヤーが気をつけなければならないのは、長野アルプスのものづくりがアベレージだと思っていたら苦労するということです。ほかで同じような取り組みをしようと考えてもできるところはまずないでしょうね。

山形:そうなんです。長野アルプスは“当たり前”の基準がひどく高いんです。


谷口:このフロアの要になるパンツのブランドを立ち上げるなら長野アルプスしかない。そう信じてお声がけしましたが、仕上がりは想像をはるかに超えていました。

──俄然、長野アルプスに興味が湧いてきました。いかにしてバイヤーが全幅の信頼を置く工場にのぼりつめたのか。その辺りを教えてください。

清沢:まず、当社の創業は1972年。ぼくが生まれた翌年のことです。

──時はまさに大量生産の時代ですね。そのころの工場は業界がアジアへの産地移転を推し進めたことで苦戦を強いられたと聞いています。長野アルプスの場合はどうだったのでしょうか。

清沢:まさにおっしゃるとおりで、我々はいまから20年前のオーダーパンツの注文をきっかけに息を吹き返しました。あらたな取引先のリクエストに応えるべく、手仕事を主体とした生産体制にシフトしたおかげで今があります。以来、裁断はすべて手。当時買った自動裁断機はすっかり埃をかぶっています。ほら、オーダーの場合は一点ごとに生地もパターンも異なるから、裁断機をいじるよりも手でやったほうが早いんです。

取引は既製服が60%、注文服が40%の構成に。間もなく注文服が50%を超えます。

現場の陣容は30人ほどで、平均年齢は40代半ば。年齢分布でみると真ん中の世代がすっぽり抜け落ちています。

長野はアパレルの産地ではありません。分業体制を敷こうにも下請けが存在しませんから、なにからなにまで内製しています。一気通貫のこの仕組みもうちの強みだと思います。


──創業されたのはお父さまですか。

清沢:ええ。現在は会長を務めています。父は学校を出ると地元のシャツ工場に就職しました。右肩上がりの時代に多角経営に乗り出した会社は、あらたな柱のひとつとしてパンツ部門を立ち上げました。その責任者に抜擢されたのが父。時宜を得たタイミングでゴルフパンツが大当たりしました。余勢を駆って独立、創業したのが長野アルプスというわけです。

──清沢さんは家業に入ることに迷いはなかったのでしょうか。

清沢:ええ。そこは迷うことがありませんでした。迷いはありませんでしたが、後悔はしました。というのも、いきなり現場に放り込まれたからです。大阪で5年ほど修業して意気揚々と帰郷したぼくはてっきり経営者的な立場でやっていくもんだと思っていました。見込みが外れたこともあって、それはそれは辛い毎日でした(笑)。

──お気の毒さまです(笑)。雌伏のときを乗り越えることができたのは?

清沢:お客さまの声に尽きます。喜んでもらえた瞬間、ぼくの苦労は報われました。

谷口:トップが現場に強いのは長野アルプスのアドバンテージのひとつです。おかげで話が早い。清沢さんが実際につくられているとは思いもよりませんでしたが(笑)。

清沢:手間はかかっても、<ドラマーズ>はやっていて面白い。お客さまの喜ぶ顔がみられたら、もはやいうことはありません。


■ 伊勢丹新宿店 メンズ館 メイド トゥ メジャー ■

<ドラマーズ>オーダー情報

  • 価格:メイド トゥ メジャー スラックス 37,400円から
  • お渡し:約5週間後~

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Text:Kei Takegawa
Photograph:Tatsuya Ozawa
 

 

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