2021.06.01 update

【インタビュー】廃材に魔法をかけるアーティストユニット＜magma/マグマ＞、結成10余年を経てネクストステージへ

廃材をコラージュしてアートピースに仕立てるアーティストユニット、＜magma/マグマ＞のポップアップストア「ISETAN MAGMA館」が伊勢丹新宿店メンズ館2階メンズクリエーターズで開催される。会期は6月2日（水）～6月22日（火）。作品そのままの穏やかな人柄もたまらない杉山純さんと宮澤健一さんに、創作の妙味とポップアップストアへの意気込みを訊いた。

magma（マグマ）

杉山純と宮澤謙一によるアーティストユニット。

廃材や樹脂、電動器具などを組み合わせ創りだす独自の世界観で、作品制作にとどまらず家具やプロダクト、空間演出ディレクション・制作まで幅広く手掛ける。2017年に活動10周年を迎え、ラフォーレミュージアム原宿にて大型展覧会を開催。近年の実績は映画『WE ARE LITTLE ZOMBIES』のアートワーク、LAのアート・クリエイティブ集団Brain Deadとのコラボレーション、メルカリ,BOSCHなどオフィスのアートワーク制作、ゆず,サカナクション,PUNPEEをはじめとする多数ミュージシャンへの作品提供などがある。どこか懐かしさを覚えるアナログ感とクレイジーな色彩が融合した作品群は、国内外から注目を集めている。

Web : http://magma-web.jp
Instagram : @magma.jp

――「magma」はスタート当初から廃材を使った作品づくりを行ってきました。その狙いをお聞かせください。

不恰好で捨てられてしまったものでも、コラージュすることでがらりと印象を変えることがある。ぼくらはそこに、面白さを感じます。格好悪い、不恰好なものへの魔法です。

便宜上、廃材といっていますが、ぼくらのなかでは廃材とは思っていません。大切な素材ですからね。そして廃材をベースにした創作は0からつくるよりも面白い。なぜならばハードルがぐっと上がるからです。あるものでつくろうと思えば、どうしても制約が生じます。

――magma のスタイルはいつどのようにして生まれたのでしょうか。

学生のころから同じようなつくり方をしていました。先生が口を酸っぱくしていっていたのは金を使わないようにしろということ。100均はだめ。使うにしてもそれとわからないように使えといわれました。創意工夫を育むシバリだったと思うんですが、あるものの価値を転換させるというのがすこぶる面白い。面白がっていたら、そのままぼくらのスタイルになりました。

――おふたりがコンビを組むきっかけを教えてください。

ぼくらは二浪してムサビ（武蔵野美術大学）に入りました。多浪生は多浪生で集まる感じで自然と仲良くなりましたね。で、課題でつくった作品をみた担当教授に「お前らは就職するよりもさっさと独立してやったほうがいい」っていわれたんです。めったに褒めない厳しい先生だったんで真に受けました（笑）。

――伊勢丹でお披露目することになった経緯は？

あるとき同級生にいわれました。「そろそろ海外の倉庫とかでどかんとやったらどうなんだ」って。いまの生活に満足していないわけではなかったけれど、それもそうだなと。伊勢丹という大きな舞台なら、これまでぼくらを知らなかった人にも知ってもらうきっかけになると考えました。

――今回、“展示販売する作品がすべて日用使いできるもの”というコンセプトにされた理由は？

ルールを設けたほうがものづくりが面白いからです。機能やサイズといった問題をクリアしたその先に（アーティストとしての）自由がある。（いつもとは）違う頭をつかうようで、楽しい。

――どんな作品がポップアップストアに並ぶのでしょうか。

テーブル 1,100,000円商品を見る
（H72×W80.5×D146.5cm）
□伊勢丹新宿店メンズ館2階メンズクリエーターズ（店頭のみ）
＊画像は取材時のもので制作途中です。三越伊勢丹オンラインストアにてデジタルカタログでご覧いただけます。

ひとつは天板と脚にジェンガを使ったダイニングテーブル。なにかを敷き詰めるスタイルはマグマのひとつのアイコンです。自分なりのスタイルをつくりたいと考えてたどり着きました。これまではスツールのような小さなものばかりで、ここまで大きいのは初めてです。

スピーカー 660,000円

商品を見る

□伊勢丹新宿店メンズ館2階メンズクリエーターズ（店頭のみ）
＊画像は取材時のもので制作途中です。三越伊勢丹オンラインストアにてデジタルカタログでご覧いただけます。

もうひとつはこれで5作目となるスピーカー。将棋盤や将棋駒、和菓子の木型といった木製品を利用しています。こうみえて音もいいんですよ。音響の理論はつくり続けるなかで学んでいきました。

『ISETAN MAGMA館』伊勢丹新宿店メンズ館限定グッズ
トートバッグ各8,800円
Tシャツ各7,700円
＜magma＞商品一覧を見る
□伊勢丹新宿店メンズ館2階メンズクリエーターズ/三越伊勢丹オンラインストア
※三越伊勢丹オンラインストアでは、6月2日(水)午前10時頃販売開始予定。（一部の商品は6月3日(木)正午頃販売開始予定）

グッズにはトートバッグやTシャツ、キーホルダーがあり、それぞれに遊び心をまぶしています。“伊”の代わりに“イ”をモチーフにしたロゴや、でたらめな文字なのになぜか“SHINJUKU”と読めるグラフィック、伊勢海老のグラフィック……。

日本一の百貨店に並べる作品なので、使用する素材もつくりも徹底してこだわりました。

――個展タイトルを「ISETAN MAGMA館」としたのはなぜですか。

伊勢丹新宿店は本館とメンズ館に分かれています。この“館”を拾って「ISETAN MAGMA館」としました。個展タイトルにアーティストの名前が入っているのも面白いと思いました。

――最後に伊勢丹のお客さまへひと言お願いします。

家で過ごすことが多くなったいま、ぼくらの作品がその空間を居心地のよいものにすることができればうれしいです。壊れたら修理いたしますので、眺めるだけでなく、たくさん使ってもらいたいです。

三越伊勢丹オンラインストアで
＜magma＞商品一覧を見る

＊一部の商品は6月3日(木)正午頃販売開始予定

イベント情報

＜マグマ＞ポップアップストア「ISETAN MAGMA館」