2020.02.19 update

【インタビュー】ロバート・タテオシアン|30周年のさらにその先を見据える、創業者の鋭敏な感性と時代観。(1/2)

"KING OF CUFFLINKS"から真のライフスタイルブランドへ──紳士の嗜みであるカフリンクスから、ユニークなジュエリー、そしてついには特別感のあるアパレルにまでその世界観とスタイル提案を広げようとしている英国ブランド、<TATEOSSIAN/タテオシアン>。その創業者であるロバート・タテオシアン氏を迎えて開催された、コーディネート販売会も大盛況となった12月某日、改めてその魅力に迫るべく、本人へのインタビューを行った。


親交あるエルトン・ジョンのパーソナリティを見事に具現化。


1990年、かの名門ウォートン・スクールで学び、投資銀行で働いていたという異色のキャリアを持つロバート・タテオシアン氏によって創設された<タテオシアン>は、氏が「紳士がただ一つ許される遊び心」と評したユニークかつモダンなカフリンクスを手掛けるブランドとして、世界中の名士たちに愛されてきた。だが2020年で30周年を迎えようとしている“KING OF CUFFLINKS”は常に進化を続け、これまでにタイバーやピンズなどのフィニッシングアイテム、そしてリングやブレスレットといったジュエリーなども提案。さらにこの春、カジュアルシーンを彩る小物や初のアパレルコレクションが登場するという。

そんなブランドの現在と今後の展望を知るべく、創業者であるタテオシアン氏を直撃した。


「ブランド創設25周年を機にスタートしたエルトン・ジョンとのコラボレーションは、エルトン本人との20年以上にわたる友情があったからこそ実現したもの。エルトン本人、そして「エルトン・ジョン・エイズ基金」とのコラボレーションという2ラインがあり、エルトン本人とのプロジェクトは『ロケットマン』という彼の半生を描いたミュージカル映画の公開、そして3年間におよぶ壮大な引退記念ツアー『イエロー・ブリック・ロード』を記念して発売したものです」

このコレクションでは“ロケットマン”をメインモチーフに、“動きのあるデザイン”というタテオシアンのブランドコンセプトを踏襲。多様化する現代のニーズに合わせて、紳士向けのタイバー、ユニセックスで使えるピンズ、エルトンのアイコンともなっている星型サングラスをモチーフにしたもの、イニシャルであるEをあしらったものなど、ステータス性の高いものを取り揃えているという。

<タテオシアン>×エルトン・ジョン
左上:タイバー 25,300円、カフリンクス 39,600円
右上:ピンズ 20,900円
下:カフリンクス 39,600円、ピンズ 20,900円

「彼のラストツアーという“歴史”の一部となるコレクションを製作できたのは、とても名誉なことです。単なるツアーグッズとは異なる、ジュエリーとして完成度の高いオマージュ作品となったのも嬉しいですね。パフォーマンス中のエルトンはとてもパワフルでクレイジーな人だから、強い色使いとそのバランスにはこだわりました。ステージの照明に映える、フラッシーな色を使うようにしているんです」

さらに「エルトン・ジョン・エイズ基金」との協業によるチャリティコレクションでは、売上の30%を基金に寄付するという。

「今日私が付けている薬のカプセル型のピンも、このチャリテイ向けの特別なアイテムです。カプセルは薬を象徴し、命を救うためのプロジェクトであるという意味において、非常に重要なモチーフとなっています。エイズ撲滅のためのアクションではありますが、貧困国にとって薬とは命そのものといってもいい。何度もミーティングを重ね、採用されたデザインなのです」


「販売されているモデルでは実際にカプセルを開けることができて、中のメッセージを読むこともできるんですよ。エルトンはとても愉快な人ですが、あまりソーシャルな活動に積極的ではない。ホームパーティーの際も、ひとりキッチンに籠もってサッカーを観ている感じで(笑)。メディアやステージで目にする彼とプライベートな彼は、かなりイメージが違うかも知れませんね。ステージではクレイジーだけど、普段はとても落ち着いた人なんです」

そんなエルトン・ジョンとのコラボレーションは、紳士のアイデンティティと“遊び心”の表現にふさわしいコレクションといえるだろう。

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