V ゾーンを彩る正統な“洒落者の証し”

確立された技術と美学が宿るマスターピース。それらは、めまぐるしく変わる世相に決して翻弄されることなく、次の世代へと受け継がれる。国や時代を超えて賛美されし名品のストーリーを追う。


<タイ ユア タイ>
ネクタイ左:34,560円・右:27,000円
■メンズ館1階=ドレスシャツ・ネクタイ

著名ブランドのエージェントを務めていたフランコ・ミヌッチ氏が、フィレンツェに高級紳士服店、タイ ユア タイをオープンさせたのは1984年のこと。洒落者たちが集う街で、すでに洗練されたファッショニスタとして名を馳せていた同氏が、自らの美意識やアイデアを注入した店は、瞬く間に注目を集めた。
そんな店を一躍世界的に有名にしたのが、“セッテピエゲ”と呼ばれるオリジナルのネクタイだ。芯地を使わずに高級な生地を7つ折りにして、オールハンドメイドで仕上げるネクタイは、数多あるクラシコアイテムのなかでも別格と称される。

そもそもネクタイの起源は諸説あるが、スカーフがその一つである。それゆえ、軽くて柔らかな一枚の生地を折りたたんだものこそが正統で、ふんわりとした立体感があってこそ美しい。ところが、そういったネクタイを体現するには、膨大なコストと卓越した技術が必要であるため、今では“セッテピエゲ”をつくりつづける店やブランドは極めて希少なのだ。タイ ユア タイのネクタイでVゾーンを彩ることは、今も“洒落者の証し”であることに間違いはない。

*価格はすべて、税込です。

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