重厚な歴史を持つジュエリーも、ファッションとして提案したい。

 

「僕がアイウエアにハマった理由はいくつかあるんですけど、祖父の影響はあるかもしれないですね。私立探偵だった祖父は、オーダーで仕立てたスーツに<サンローラン>のサングラス、ゴールドの指輪をつけて、さりげなく<ボルサリーノ>のハットを被るような粋なスタイルで…、幼い僕らには入ることが許されなかった祖父の事務所には、六法全書や歴史書が並んでいました。母からは僕らが小さいころから兄弟お揃いで80年代当時に流行っていたデザイナーズブランドの服を着せられてましたし、ファッションにはかなり早い段階から触れ合っていたように思います」


「その延長で10代からヴィンテージファッションに興味を持つようになって、あるときアイウエアの面白さを知ってしまった。専門店で見た、<アランミクリ>など、アイウェア専門ブランドのフレームがとにかく面白くて……。アイウエアは顔の一部だから、ファッションよりもさらにパーソナリティや人の印象に影響すると思います。リアルな優しさや強さ、あったかさ、楽しさ、ときには眠たさまでにじみ出る(笑)。自分のボディの一部になるものですよね、アイウエアは。日常のさまざまな場面で『このレンズの色の濃さは、食事をする際にも適しているかな?』といったことがたくさんありますし。ファッションよりもさらに、“人間的”なんだと思います」

そんな龍允氏が、ヴィンテージにこだわる理由はどこにあるのだろうか。


「ヴィンテージアイウエアの魅力は、“ユーズド感”では決してありません。そこはファッションなどのユーズドヴィンテージと大きく異なる点ですね。だから、よりいいコンディションで当時にできるだけ近い、できれば新品以上の状態で販売したい。ヴィンテージにしかない魅力というのは確かにあります。でも1980年代のものにある魅力は1970年代のものにはないし、逆に2010年代のものにしかない魅力もあるんです。だから僕らは、1940年代のアイウエアも2010年代のアイウエアも、“タイムトラベル”や“カルチャートラベル”という観点からはどちらもそれぞれにしかない魅力があると考えているんです」

そして今回のプロモーションでは、2015年から取り扱いを開始したアンティークジュエリーの博物館級コレクションも一堂に会するという。


「ヴィンテージアイウエアが200年くらいの尺度だとしたら、アンティークジェリーは2000年以上。古代ローマから中世、第二次大戦と、さらに壮大な“タイムトラベル”を堪能していただけると思います。ミュージアムではないのでぜひ気軽に試着してただきたいと思いますね。アンティークジュエリーがもっている歴史的ストーリーを踏まえつつ、ファッションとして取り入れる。こういう楽しみ方が、“今”らしいといえるんじゃないでしょうか。大きなダイアモンドが入っているわけでなければ、希少性の割にプライスは高くても100万円前後。見るだけでも十分楽しめると思いますし、入場は無料ですからね(笑)」

曰く、アイウエアとジュエリーの仕入れルートは、全くの別物なんだとか。「ヴィンテージアイウェアについては、僕らが世界のパイオニアだという自負がある」という龍允氏。アンティークジュエリーという驚くほど保守的で閉鎖的な世界に飛び込んで約5年。紹介を通じて着実に存在感を増し、ネットワークを広げる彼らが他に先駆けて行うのは、歴史的な装飾品が持つ大きすぎる“意味”を理解した上であえてフラットにし、リアルなファッションとして取り入られるように提案することだという。こんな取り組みは、世界の誰どこでも聞いたことがない。岡本兄弟と<ソラックザーデ>は、アンティークジュエリー界においてもパイオニアと呼ばれることになりそうだ。

 

イベント情報

<ソラックザーデ>トランクショー

□6月12日(水)~18日(火)/メンズ館1階=シーズン雑貨・帽子
□6月12日(水)~27日(木)/メンズ館1階=ジュエリー


Photo:Natsuko Okada
Text:Junya Hasegawa(america)

お問い合わせ
メンズ館1階=シーズン雑貨・帽子
メンズ館1階=ジュエリー
03-3352-1111(大代表)