サルトリアとファクトリーのメリットを融合

矢部 <プリンチペ・ディ・エレガンツァ>の特徴を教えてください。
エンリコ 最近の世界のファッションビジネスは、トータルルックが流行っていますが、<プリンチペ・ディ・エレガンツァ>はお客さま個々にフィットした服を職人技でお渡しするサルトです。イタリアの工場は通常、ジャケット工場とパンツ工場は分かれていますが、<プリンチペ・ディ・エレガンツァ>はすべて社内で生産しています。アットリーニやキートン、ボレッリなどで腕を磨いたスペシャルな職人を集めて服作りをしていて、社内にはネクタイ部門もあります。
矢部 それはすごいですね。どういう体制で服作りをしていますか。
エンリコ 会社には40人が属しています。内26人がテーラー担当、6人がパンツ担当、そのほかがネクタイ担当とオフィススタッフです。テーラー職人は「丸縫い」(一人の職人が一着の全行程を縫い上げる)ができる腕を持っていますが、職人が好きな箇所や得意な部分をヒアリングして、製造ラインの中に配置。さらに、袖のいせ込みの量を左右均一にするために、職人の利き手によって袖付けの左右を担当させるなど、かなり細かい配慮を行っています。
矢部 <プリンチペ・ディ・エレガンツァ>が目指す、サルトリアとファクトリーのいいとこ取りした「サルトの製造ライン化」としては理想的ですね。


矢部 今回のメンズ館でのトランクショーは、日本で初めてだと聞きました。
エンリコ 世界のマーケットリーダーである伊勢丹新宿店メンズ館でトランクショーができてとてもうれしいです。4階のスタイリストなどスタッフもプロフェッショナルで、お客さまとお話しして良い感触を受けました。
矢部 エンリコさんは世界中を飛び回っているそうですね。
エンリコ トランクショーは、作った私たちが直接お客さまの身体に触れてお渡しできる機会なので、お客さまごとの好みやサイズ感、デザイン、カラーなど、出来る限り話をします。今は積極的に世界中で行っていますね。


服は身体の一部になるような「第2の肌」だと思う

矢部 ジャケットの説明をお願いします。
エンリコ 私個人は、洋服は生地が一番重要だと思っています。その生地を活かすための着心地の良さを追求しています。着たときの軽さや柔らかさなど、服は身体の一部になるもので、服を「第2の肌」と考えています。そして着心地の良さから、また次が欲しくなることを心がけて作っています。
矢部 そのために高い技術を持った職人技が必要なのですね。
エンリコ そうです。<プリンチペ・ディ・エレガンツァ>は、昔のテーラーのようにすべて手作業で、お客さま一人ひとりにフィットする服を生み出しています。いわば「昔ながらのテーラーを職人がライン化した会社」です。ジャケットやパンツの裏側など見えないところにもしっかり手作業を入れて、ナポリだからこそできる仕立てをお届けしています。


矢部 パンツもハンド感があって良い出来上がりです。
エンリコ ありがとうございます。パンツはナポリのトラディショナルな技法をベースに、穿きやすく、歩きやすい、ジャケットと同じく「肌のように」身体に沿ってフィットするものを作っています。丁寧な作りのほかに、センタークリースを少しずらすことで脚が真っ直ぐ見えるようにするなど、手間をかければかけるほど穿きやすいパンツが生まれます。


お問い合わせ
メンズ館4階=インターナショナル ラグジュアリー
03-3352-1111(大代表)