リバティプリントにインディゴ染めを施したシャツ&ジャケット

リバティプリントをインディゴ染めしようと思った理由

僕が<ヒピハパ>を手がける前、ロンドンでデザイナーとして働いていたときに、リバティ社で125周年の記念シャツの作成の依頼がありました。そのときは、ウィリアム・モリスのデザインした「イチゴ泥棒」という今ではリバティを代表する柄を起用したシャツを作りました。

海外メイドのリバティもありますが、シルクスクリーンのようなものでプリントされたものはあまり好きではないので、<ヒピハパ>ではメイドインジャパンにこだわり、現在もリバティプリントのシャツを手がけています。

ウィリアム・モリスのデザインした人気のテキスタイルのひとつである「イチゴ泥棒」

今回、リバティプリントにインディゴ染めを施そうと思ったのは、リバティが日本でブームになり、「よりリバティの良さを知ってもらいたい、今まで作ってきたリバティシャツをもっとバージョンアップさせたい」と思ったことがきっかけです。

もともとデザインに何か他とは違うスパイスを加えるのが好きですから、お客さまに面白いと思っていただけるデザインにしたかった。これまでリバティプリントをインディゴ染めしようと考える人はこれまでいないんじゃないでしょうか。おそらく世界で初となる「リバティプリントのインディゴ染め」は、きれいな柄と色が特徴の伝統的なリバティプリントを、あえてインディゴ染めしモダンに仕上げるというもの。しかも後染めではないという、リバティの新たな一面を楽しめるものになっています。



左/ジャケット 52,920円
右/シャツ 25,920円
■メンズ館6階=コンテンポラリー カジュアル

“和”に通じるものがあるインディゴ染めの魅力

通常では縫製済みのものをインディゴ染めすることが多いのですが、今回は、製品染めではなく、一度生地をインディゴ染めして、きれいな布にしてから縫製するという一手間をかけています。インディゴ染めしたアイテムは、他の染料で染めたものとは違い、他色と混ぜてもブルーのままです。それが良さでもあり、だからこそ染めを施したアイテムでコーディネートするときれいで統一感がでます。コーディネートでも、インディゴ染めしたものだと、例えばチェックのジャケットとリバティのシャツなどの柄×柄で合わせてもすっきり見える。一色でまとまるのは、和服に通じるものがありますね。

特にシャツには自信があります。縫製工場は、僕が30年以上前から使っている向島にある工場で、<ヒピハパ>のシャツは全部お願いしています。家族ぐるみの付き合いで、絶大なる信頼を寄せています。出来上がりのクオリティが本当にしっかりしていて、普通の工場とは全然違います。

他の工場では断られる作りづらいデザインのものも作ってくれます。僕はいじわるなので(笑)、あえて「一番作りにくいデザインって何?」と尋ねて、「昔やっていたけど、今は一切やってない中縫いのデザイン」と言われれば、それを注文したりします。かなり嫌がられましたが結局は作ってくれました。それで作ったのが、中縫いの縫製が施してあるシャツです。表にステッチが出ないデザインで、ジャケットではよくありますが、シャツでは他では見たことがありません。