2013年秋冬からはロンドンコレクションを活躍の拠点とし、今ではすっかり常連となった。デザインの過程について聞くと「いつも殴り合っているよ」(アギ)とジョークを飛ばした。


「昔はコンセプトを決めて、別々に試行錯誤して、時には喧嘩に発展する事もありました。ですが今は、デザインや生地のリサーチを分担し、集めたものを共有して、一緒に作り上げていきます。ファッションのセンスなんかも昔は全く違ってましたけど、だんだん似てきたましたね(笑)」(サム)

批評家やバイヤーからの支持も厚く、その証拠に2013年には「トップマン」と、今年の秋冬は「ラコステ」とコラボレーション。2016秋冬コレクションは権威あるファッションアワードのひとつ「インターナショナル・ウールマーク・プライズ」のファイナリストにもノミネートされた。

このコレクションでは、写真家「チャールズ・フレイガー」が撮ったガーナの「アサフォ」という民族から着想を得ている。


インターナショナル・ウールマーク・プライズ 2015/16より

「イギリスの植民地時代に、『アサフォ』が顔にブルーのペインティング(スコットランドの国旗は青)を施していたり、タータンチェックを模倣しているということを知りました。そこからスコットランド特有のファブリックだったり柄だったりを掘り下げ、『アサフォ』の服飾文化とミックスさせるようにして、コレクションを作り上げました」(アギ)

立ち上げ当初に比べると、社会的な意味でのテーマ性は年々深まり、アイテムは力強くも普遍性を帯びてきた。大人でもすんなり着られるような、そんなデザインの服たちが、名立たるショップのラックを彩っている。

「日本のファンにオススメのアイテムは?」と聞くと、「日本人はなんでも似合っちゃうから、全部だね」(アギ)と返ってきた。


アギ・ムドゥムラ

「日本人の皆さんには、プリントものを着てほしいですね。黒人だったらビビッドなカラーが、サムみたいな白人だったら、シンプルな色合いの服が似合う。アジア人だったらどんな色のアイテムでも着こなせると思います」(アギ)

「あとは、ハイブリッドのワークジャケットがオススメです。僕が得意なミニマルでイージーなカッティングと、アギが得意なテキスタイル使い。その両方の側面が一着に凝縮されていますので、ぜひ手に取っていただきたいです」(サム)


<アギ&サム>2017春夏コレクションより

2017春夏コレクションは彼らなりの”ジェンダーレス”にチャレンジしている。

「今、サムの家庭は父親が病気を患い療養中で、母親が働いているんです。世の中一般の夫婦モデルとは逆転している状況です。なので、そこをヒントにしながら、その逆転している状況が今の世界にどう映るのか、僕たちなりに考え、コレクションを作り上げました」(アギ)

「具体的にそれが表れているところは、ヴィヴィッドなパステルカラーの手袋です。あれは、食器を洗うときのゴム手袋から着想を得ています。また、明るい色のフラワープリントなど、フェミニンな要素を積極的に取り入れました」(サム)


ユーモラスで、楽しげだが、同時に考えさせられる。これからもそんなコレクションが見られるに違いない。

「洋服って、毎日身につけるもの。フィジカルにダイレクトに、世界中の人々と考えを共有できるところがファッションの面白さだと思います」(アギ)

「アギの言う通り。これからも自由な発想で服作りができたら最高ですね」(サム)


昨年11月のインタビュー時には、メンズ館2階=インターナショナル クリエーターズにてライブパフォーマンスも披露された

Text:Morishita Ryuichi
Photo:Ozawa Tatsuya

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