＜Yohji Yamamoto POUR HOMME＞ 2008−2009AWコレクションで展開した、チェック柄のアイテム群は、黒を基調としたコレクションの在り方にアクセントを与え、洗練されたムードを感じさせた。このアーカイブを再解釈し、メイド・イン・USAファブリックの雄 ＜PENDLETON＞のテキスタイルをクロスオーバーさせ、構築美にアップデートを施したのが本コレクション。黒の流麗なシルエットを形成する＜Yohji Yamamoto＞のモノ作りに、牧歌的なムードを感じさせるクラシックなチェック柄を組み合わせた結果、ダークモードなピースへと昇華されている。フォーマルにカテゴライズされるアイテムをモードに表現すべくチェック柄を高次元で融合させたのは流石の仕業と言える。

希少価値の高いUSメイドのチェック生地を贅沢に使用したロングスカーフジャケット。かつてのコレクション時にはセットアップの首周りにスヌードの様に使用したことで顔周りに色柄を印象付けるコーデで提案していたが、本画像の様に大判のブランケットさながら全身を包み込む着こなしをするのも一興。

CASE②：VANSON LEATHERS

―90s的なムードを滲ませる破壊力抜群の“BONE（ボーン）”

90年代、日本のユースカルチャーシーンに登場するや否や鮮烈な印象を与えたブランドが＜VANSON LEATHERS＞だった。当時、あまりの熱狂ぶりから一部の若者たちの間で“VANSON狩り”と呼ばれる由々しき事態も起きたほど。その90年代当時に狂信的な人気を博したのが他ならぬ“BONE（ボーン）”だった。ハードコアパンクの開祖的バンド MISFITSさながら、強烈な印象を放つBONEのデザインをモードライクに解釈し完成させた本シリーズは、ジャケット、バッグ、グローブの3種と非売品のSS TEEをラインナップ。いずれのモデルにもBONEグラフィックが配され、＜Yohji Yamamoto＞のネームが刻まれる。 

左：黒×黒のBONEライダース、黒×白のBONEグローブを組み合わせた強インパクトなコーデ。レザーの質感でコントラストを表現したジャケットに対し、配色のコントラストで表現したグローブ、と同じグラフィックを使用しても物作りのアプローチを変えることで魅せ方に大きな差が生まれる。

右：BONE柄トートバッグはレギュラーラインナップのトートバッグとは異なる仕様で作り上げた。ハンドルの長さも別注し、正面・背面のパネルは両脇で縫製、ともにBONE柄のレザーパッチを叩きつけたインパクトが目を引く。BONEデザインのSS TEEは商品購入者向けの非売品でありレアピース（※BONEデザインのSS TEEは、Yohji Yamamoto POUR HOMME × VANSON LEATHERS ライダースをお買い上げのお客さま全員に差し上げます。）

CASE③：HTC

―規則性を廃したことで生まれるユニークさを宿した1点モノ

ヴィンテージのシーンにおいて希少価値の高かったスタッズワークを施したレザーベルトに着目し、規則性の高い構築的なデザインの製品を手がけたことで一躍その名をファッションシーンに轟かせた＜HTC＞。かのRRLでベルト製作を一任された、と言えばその実力がいかに高いか自ずと理解ができるハズだ。そんな同ブランドに“敢えて”規則性を廃したデザインを依頼し、パンキッシュな表情に仕上げたのが本品。＜Yohji Yamamoto＞の代名詞、ジャケット＆パンツのセットアップにランダムに見えるスタッズワークを施し、パンクな息吹を感じさせたのは、まさにアルティザンの手腕によるもの。世界でも類を見ないワンメイクアイテムが登場する。

左：トラッカー型デニムジャケットに数多のスタッズを打ち込みパンキッシュな表情に仕上げたセンセーショナルな作品。ハンドメイドのスタッズワークで表現したのは“YOHJI”の文字。フロントに垂らしたベルトの剣先にもスタッズワークで“YOHJI”ネームが配されているのが分かる。

右：ジャケット・パンツのセットアップにスタッズワークで“YOHJI”の文字を散りばめた前衛的なデザイン。ともすればフォーマルな印象に感じられるアイテムを、デザイン性の高い仕様へと作り変えた。モードでありながらパンキッシュ、ブランドの根底に流れる精神性を今一度伝えるピース。