2019.04.23 update

「着られる服がない」をバイヤーが解決! Vol.5──おしゃれを諦めたアスリートを開眼させる!

体型でお困りの方でも、メンズ館7階=背の高い方&大きいサイズのスーパーメンズ(以下スーパーメンズ)なら、おしゃれに強くなれる──これまで体型のせいで「着られるサイズならなんでもOK」と、おしゃれをハナから諦めていたアスリートに、スーパーメンズ担当バイヤーが最新のファッションアイテムをコーディネートする本企画。

今回は、2020年東京五輪から正式種目となった3人制バスケットボール「3×3(スリーエックススリー)」の日本代表入りを目指す野呂竜比人選手。プロバスケットボール選手として朝から晩まで練習に励みながら、コートと自宅を行き来する毎日は「おしゃれをする余裕も必要も無かった」という。しかし海外遠征を重ね、試合でも好成績を収めていくにつれ注目される存在になると、服装にも気を使わなくてはならなくなってきたという。FIBA 3×3アジアカップ2018 銅メダル獲得、そしてオリンピックで表彰台を狙える位置にある日本バスケットボール界にも注目したい。



スーパーメンズ担当バイヤーの今泉洋祐(写真左)と野呂竜比人選手(写真右)

  1. 注目を集める3人制バスケ、"3×3"オリンピック代表候補が登場
  2. プロになって初めて、コートの外でも見られていることに気がついた。
  3. 伊勢丹バイヤーが、野呂選手をコーディネート
 

注目を集める3人制バスケ、"3×3"オリンピック代表候補が登場



5人制バスケットボールの半分のコートに、プレイヤーが6人。激しいフィジカルコンタクトを交えながら対戦する3×3は、テクニックだけでなく体格も重要な戦力。3×3のプロチーム「BEEFMAN.EXE」に所属する野呂竜比人さんは、恵まれた体躯を持つ日本人選手の第一人者だ。昨年銅メダルを獲得したアジアカップでは主力として活躍し、2020年の東京、2024年のパリ両五輪で正式種目に決定しているバスケットボール・3×3の代表選手として、いまもっとも期待されるプレイヤーでもある。

ストリートバスケ「3on3」に始まる3人制バスケットボールは、2007年から世界共通の公式ルールが定められ「3×3(スリーエックススリー)」と名称を変更。専用コートはまだ少ないが、設営が簡易なので、場所さえ確保できればアリーナでなくとも、どこでも試合ができる。屋外で行われることも多く、ショッピングモールの駐車場から歴史遺産の門前まで会場設営が可能だ。実際に日本では宇都宮・二荒山神社参道、オーストラリア・シドニーではオペラハウスを臨む海沿いの公園など、多彩な場所で公式試合が開催されている。試合中にDJとMCが盛り上げる点は、スケードボードやBMXなどエクストリームスポーツに近く、会場はフェスかイベント並みに最高潮に盛り上がる。



「ほら、ここってオペラなんちゃら? 写真が良いでしょ。僕じゃないですよ、プロのカメラマンさんが撮ったんです。あれ、消えちゃった。これじゃない、な……。あ、これこれ。すごい“映え”るでしょ。屋外だし、“映え”るんですよ3×3って、屋外だし。あと、こないだの試合なんですけど、あれー? どこだったかなー、写真、写真…」。

自分のスマホを取り出して写真を見せてくれた野呂さんは、ときどき操作を誤って、あたふたしている姿が微笑ましい。俊敏にハードコンタクトするプレイスタイルからは、意外なほどに穏便で人の良さが滲む緩いキャラクターには逆に面食らった。彼に会うため訪れたのは、横浜市にある所属チームの専用コート、屋外バスケットボールコート「横浜B-COURT」。地下鉄の駅に隣接する抜群のアクセス。プロの3×3選手の野呂さんは、毎日ここに“出勤”して練習し、ときにはジムに移動してトレーニングを積む。合わせて週に2回、子どもたちにバスケット教室で指導するのも彼の“仕事”だ。取材は、まだ春の足音が聞こえてきたばかりの3月、コート横のベンチで、ストーブを囲みながら行われた。

ゴールポストは一箇所、コートサイズは半分、ボールも一回り小さいサイズを使う。ルールは5人制バスケに準じるが、最大の違いは「12秒ショットクロック」と「21点ノックアウト制」だ。試合時間は10分1ピリオド、ボールを保持してから12秒以内にシュートを打たなければならず、21点を先取すれば残り時間にかかわらず勝敗が決まる。そのため10秒に1本、シュートが放たれるスピード&パワープレイは1秒たりとも目が離せない。チームプレイも重要だが、個人のポイントランキングが代表選考の鍵となるため、シーズン通して得点争いが繰り広げられる。野呂選手は昨年度の日本ランキングは最高順位2位。今年はここまで6位と健闘しているが、もちろん目標は最高位だ。「やっぱ、1位、とりたいっスねー」と穏やかな口調だが眼光は鋭い。

プロになって初めて、コートの外でも見られていることに気がついた。





「バスケって、ユニフォームもシューズもお洒落じゃないですか。ヒップホップアーティストたちがウェアを着ていたり、エアジョーダンに代表されるバッシュなんかもファッションアイテムになってますよね。自分でやっていて、バスケットボールって、そういうところもすごいスポーツだなぁ、って思うんです」。

そう話す野呂さんに普段のファッションについて聞いてみると、少し考えたように「なんて言おう?」という顔をしている。そして意を決したのか、バツが悪そうに答えてくれた。


「…じつは、偉そうなこと言っておいて何なんですが、全然こだわりがなくて。私服は、ここ何年も買ってないし、いつもジャージです。バッシュもとくにこだわりがなくて、痛くなく履ければなんでもOKなんです。背が高いだけじゃなく肩幅も広いっていう個性的な体型なんで、おしゃれはずっと前にあきらめました。ほんと、ぜんぜんお洒落じゃなくて、すいません」。

そう申し訳なさそうに話す野呂さんに、そうはいいながらも若い頃は、学生時代は、どんな服を着ていましたか?と尋ねていくと、徐々に彼のいう「おしゃれをあきらめた」理由が明らかになってきた。

「子供の頃から背が高くカラダも大きかったので、服は着られるサイズであることが大前提で、デザインや色とかを選ぶことなんてできませんでした。足も31㎝なんで、履けるサイズがあったら買うっていう感じで。昔からあまり服を選ぶってことをしてこなかったので、今だにファッションって、よくわからないんです。いまはインターネットで大きいサイズが簡単に探せる便利な時代になりましたよね。今の子は、恵まれてるなーって思います」。

日本人の大柄アスリートには、着られるサイズがないことから服を諦めることが習慣づいている人が少なくない。野呂さんもそう。プロになって遠征や移動、記者会見などでスーツを着ることを義務付けているスポーツもあるが、まだ若い3×3にはその規定が無いらしい。とはいえ、つねにジャージーにトレーニングウェア姿では、ストイックなアスリートとしては正解かもしれないが、子どもたちが憧れるスーパースターには不似合いだろう。

「お洒落上手な先輩の背中を見ていると、自分もお洒落したいなと思うことはあるんです。でもまずサイズがないだろうなと思いこんでいるから、どこに服を買いにいけばいいかわからないし、服の選び方もわからない。みんな、どこで買ってるんだろうって。伊勢丹メンズ館の7階に行けば、僕が着られるサイズがあるってことも今回初めて知ったので、どこで買えばいいかは、ようやくわかりました。これからはコーディネートもリハビリしていかないと。あ、初心者なのでリハビリじゃなく、イチから学ばないといけないですね(笑)」。

伊勢丹バイヤーが、野呂選手をコーディネート



着られる服がないと最初から諦めていた野呂さんに、お洒落をレクチャーするのはスーパーメンズ担当バイヤーの今泉洋祐。これまで大相撲・峰崎親方や現役ラグビー選手にも着られる服を紹介してきた実績をもち、背の高い方や大きい方、とくにアスリートが公の場に出る時の服装やプライベートをスマートに過ごせる服を提案することもできる。今回、今泉が用意したコーディネートはスマートカジュアル、アスレジャー、ストリートカジュアル、コンフォートスーツの4スタイル。それぞれのコーディネートについて、バイヤー自ら解説してもらおう。


<ブラックレーベル・クレストブリッジ>
コート 45360円
パーカ 23,760円
シャツ 19,440円
パンツ 19,440円

──「スウェットパーカにピーコート型ジャケットを羽織ったスタイリングは、野呂さんが以前からやってみたいと仰っていたスマートカジュアルです。着慣れたスウェットアイテムに、ジャケットを羽織るようなスタイルなら、所属チームのオフィスに顔を出すときも品格を損なわないでしょう。先輩との会食や、ご家族で外出されるときにも着ていただきたいスタイルです」(今泉)。

ジャケットを羽織ることがあまりないという野呂さんは、嬉しそうに袖をパタパタさせている。クリース入りのスラックスも用意してあったのだが、バイヤーが思っていたより野呂さんは下半身が太く、チームウェアもパンツだけ特注品だということで、残念ながら他のコーディネートから流用することとなった。

「30歳過ぎたんで、ジャケットが着られる大人にならないとと思ってたんです。それにネクタイをしなくても、パーカにジャケットとかTシャツにジャケットとか憧れでした。スラックスも既製品は入らないものが多いのですが、お店に行けば上のサイズもあるということですので、次回はお忍びで行かせてもらおうと思います」。


<ブラックレーベル・クレストブリッジ>
パーカ 32,400円
Tシャツ 12,960円

──「ブラックレーベルのパーカは、スポーツブランドとはひと味違うスポーティでラグジュアリーな雰囲気が漂うものです。プロ選手はコートではスポンサーメーカーのブルゾンやジャージーを着用するのが基本ですが、プライベートは自由な服装が許されていると思います。そんなときのカジュアルウェアの選択には、大人のブランド選びはマストではないでしょうか」(今泉)

コットン素材のジップアップパーカは、練習用のユニフォームに近いウェア。野呂さんにとっても安心感がある。動きやすく、それでいてシルエットはほどよく細身で、単にビッグサイズのジップアップパーカとは一線を画すトップスだ。

「これはとっても着やすいですね。あんまり違和感がないので、このまま練習してもいいかもしれません。この手のパーカは、チームのユニフォームかスポンサーのものしか着たことがないので、他にも選択肢があるのは楽しそうです」


<エンポリオ アルマーニ>ブルゾン 127,440円
<ハイドロゲン>Tシャツ 20,520円
<ソリード>パンツ 30,240円

──「もう一点、こちらのブルゾンスタイルはエンポリオ・アルマーニから。インポートのラグジュアリーブランドなら、野呂さんが着られるサイズのアイテムがあります。各ブティックを回らなくても、スーパーメンズには錚々たるブランドが一堂に介しているので、買い物されるにも便利なんです」(今泉)。

モノトーンのカジュアルアイテムでコーディネート。原色、ケミカルカラーの多いアスレジャーに、白、黒、グレーをベースにした大人っぽいコーディネートだ。

「ブランドとか全然知らないけど、アルマーニぐらいは知っています。でも、自分には全然用事がないと思っていました。海外のブランドだと、着られる服があるんですが、日本では入れてないことが多いので遠征時に買おうと思っても、実際は移動時間がぎりぎりだったりしてゆっくり買い物できる時間は無いんです。伊勢丹のスーパーメンズって便利ですね。こんな高い服、着たことないから、ちょっと緊張します(笑)」。


<マッキントッシュ フィロソフィー>
ジャケット 37,800円
ベスト 21,600円
シャツ 14,040円
パンツ 17,280円
ネクタイ 15,120円

──「最後はスーツです。マッキントッシュ フィロソフィーのトロッターシリーズは、撥水性や伸縮性、防シワ性など、さまざまな機能を盛り込んだユーティリティウェア。ビジネスマンなら出張時にも役立中心ます。海外遠征の多い野呂さんにとっても、有効なのではないでしょうか」(今泉)。

スーツを着て会社員として、バスケットと二足のわらじ時代もある野呂さんも、当時のスーツは量販店のオーダー品だったという。いまもクロゼットにスーツは、一着しかない。

「普段、スーツを着ることはあまりないのですが、子供もいますし、これから先のライフステージでスーツを着る必要は必ずあると思います。そんな時のスーツは、サイズ優先で仕方なく選ぶのではなく、自分が着たい色柄のスーツを選びたいですね。既製品から選ぶのは絶対無理だと思ってたので、試着できるっていうことがもう新鮮です(笑)」。


「つねにジャージで生きてきたので」とはにかみながら、プロになって初めて周りから見られてることに気づいたという野呂さん。先輩から「私服もちゃんとしといたほうがいい」と言われながらも、どうしたらいいのかわからなかったという。近年メジャースポーツでは、専門家を講師に招いて、ファッション講座を開くことがある。確かにコートの外でスタープレイヤーがジャージ姿でいるよりも、スタイリッシュな服に身を包んでいたほうが、ファンも子供たちも一目置くはずだ。野呂さん自身、“憧れのバスケットボールプレイヤー”には、おしゃれであることも大切ということをひしひしと感じていたのだという。

「服を買いに行く時間があるぐらいなら、練習したほうがいいと思っていました。それぐらい練習しないとオリンピックには行けないから」とは、アスリートとしての本音に違いない。だが数年後には息子さんの卒園式、入学式も控えている。コートの中ではもちろん、コートの外でも輝くことで、アスリートとして、そして父親として、最高にかっこいい男であって欲しいと誰もが願っている。

 
Photo:Tatsuya Ozawa
Text:Yasuyuki Ikeda

*価格はすべて、税込みです。

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