3月2日(水)より地下1階=紳士靴で開催される<ヒロシツボウチ>ポップアップストア&パターンオーダー会。今回はイセタンメンズ別注の“光る素材=リフレクター”の新作「ウィングチップスニーカー」が登場します。インタビュー後編では、坪内浩さんの靴づくりの哲学や、日本の男たちの靴の履きこなしを伺います。


デザインの発想はクラシックですが……

――坪内さんは日本の靴学校を卒業後、フリーランスのシューズデザイナーとして活躍し、一世を風靡したブランド「プレミアータ ウォモ」や「エンツォ・ボナフェ」を日本に紹介。そしてご自身の名を冠したブランドを立ち上げましたが、どんな靴がお好きですか。

好みは時代時代によって変わっていきますが、根底にあるのは英国やアメリカのトラディショナルと、フランスのコンチネンタルスタイルも好きですね。60~70年代の<YEVS SANTLAURENT/イヴ サンローラン>や<renoma/レノマ>のスーツに合わせていたようなヒールのあるブーツを履いていた時代も大好きです。

――坪内さんにお会いするといつもおしゃれで、素敵に着こなしているなぁと思いますが、洋服もお好きですよね。

クラシックもモードも洋服は大好きです。自分が買うものはスーツやジャケットをまず買いたいと思うので、靴のデザインの発想もクラシックが原点ですが、一つのスタイルにはこだわらないようにしています。クラシックなスーツはもちろん、<THOM BROWNE. NEW YORK/トム ブラウン ニューヨーク>も<Saint Laurent/サンローラン>も着ます。いろんなスタイルに興味がある。世の中がカジュアルに振れてくると毎日スーツを着るし、わざわざネクタイをして出かけます。ちょっとへそ曲がりなんですよ(笑)。ネクタイのように楽しめるモノがあるのに、わざわざ捨てることはありません。


いろいろトライして「本物」になればいい

――へそ曲がりなんですか(笑)。そんな坪内さんの靴のデザインの根幹とは。

難しい質問ですね。ファッションという観点からなら僕はドレスからカジュアルまでいろんなものに興味があるので、いろいろトライしてみたい。靴ではたとえば、革一枚で素足でも履けるような靴など極めて難しいことにも取り組みたい。いろいろ挑戦して、それでも「本物」になればいいんです。靴の可能性の世界を広げたいですね。

――伊勢丹新宿店メンズ館の紳士靴売場の印象は。

靴が好きな人はもちろん、ファッションが好きな人が集まる店ですね。リピーターの方も多い印象があります。


いつの時代にも「正しい服装」は必ずある

――日本の男たちの靴の履きこなしは見ていてどう感じますか。

昔と比べると、良い靴を買える店も増えたし、自分で靴を手入れする男性も増えて、靴をめぐる環境はよくなっていると思います。ファッションスタイルに合わせての靴選びも上手になっていると思いますが、政治家や企業のトップなど社会的な地位がある人には保守的な格好をしてほしいですね。

――最近なにか気になることはありましたか。

昨今カジュアル化が進み過ぎているように感じます。きちんとしたスタイルをする人が少なくなっているように感じますね。特に社会的な地位のある人はもう少し正統なスタイルを心がけてほしいなと思います。いつの時代も「正しい服装」は必ずあるので、それが社会に根づいてほしい。そうしたら僕は「それを壊してやれ」と思うんです(笑)。


<ヒロシツボウチ>ウィングチップスニーカー(ゴールド)31,320円
<ヒロシツボウチ>ウィングチップスニーカー(シルバー)29,160円
<ヒロシツボウチ>スニーカーグルカサンダル29,160円

Photo:SUZUKI Shimpei

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メンズ館地下1階=紳士靴
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