今秋は、アフターコロナの本格的なファッションシーズン。クローゼットを整理しながら、装うことの愉しさを再確認している方も多いのではないでしょうか。そうなると、思い出すのがタイドアップスタイルの醍醐味です。ビジネスシーンでもノーネクタイが主流となった時代だからこそ、あえてタイドアップすることで、お洒落を楽しんではいかがでしょうか。伊勢丹新宿店メンズ館は、オーセンティックから最新まで幅広いVゾーン作りのお手伝いをいたします。

 

 

今秋のVゾーンは「装う愉しさ」を再認識するために

コロナ禍で海外から新しいトレンドが入ってこなかったこともあり、イタリアンクラシコ一辺倒だったメンズトレンドに、本格的なクラシック回帰や英国トレンドの復調など新たな傾向が見られる今季。ドレスクローズのカジュアル化は進んでいますが、その分、お洒落を愉しむためのタイドアップの幅は以前より広がっているようです。

 その理由のひとつとして、ビジネス以外でのスーツ＆ジャケットスタイルの需要が増えている事が挙げられます。たとえばコロナ禍にはなかなか積極的になれなかった大人数でのパーティシーンや、レストランに食事に行くときなども、以前よりお洒落していこうという気概が高まっている様子。大人の男性のお洒落となればタイドアップは必須です。

 そこで今季のタイドアップスタイルを、ネクタイとシャツのトレンドから分析してみました。今季らしいネクタイ選びと、そのベースとなるシャツ選びをトレンドの傾向から読み解くとともに、スーツやジャケットと組み合わせて、どんなVゾーンメイクに仕上げるのか、伊勢丹新宿店メンズ館流のスタイル提案としてご紹介します。

 

ネクタイトレンド1：ベースカラーは重厚感漂うニュアンストーン

 

ニュアンスのあるくすんだ色味が今季も継続のトレンドです。アウターでもツイードやフランネルなど、英国調の素材色がピックアップされているだけに、似たような色味といえばわかりやすいかもしれません。暖色はグレイッシュなトーンに、寒色もアッシュを纏うくすんだ色調で、日本の伝統色にも通じる色合いが主流。秋らしく落ち着きのある大人色として、選びやすい色合いともいえるでしょう。

 このようなニュアンスカラーをベースにした＜ステファノビジ＞の小紋タイは、柄色にもアンティーク調のムードが漂います。＜アルテア＞の無地の場合も重厚感があり、貫禄と頼りがいのある男性像を強調してくれます。それゆえファッションとして楽しむなら英国的なジェントルマンらしさを演出、ビジネススタイルに取り入れればステイタス性を表現するVゾーンコーデが装えます。

 

ネクタイトレンド2：ヴィンテージ未満の復刻アーカイブ柄

先程のニュアンスカラーに通じるトレンドとして、色柄に過去のアーカイブを復刻させたパターンが続々と起用されています。アーカイブとはいえ、ヴィンテージと呼ぶほど時代の古いものではなく、70～80年代の、私たちの父親世代が身につけていたような色柄だったり、まだクローゼットの奥を探せば見つけられそうな、そんな懐かしくも新鮮な色柄を揃えました。
＜ドレイクス＞の前身として知られる＜ヒル＆ドレイク＞のアーカイブは80年代のもの。コンピュータを駆使した繊細な柄作りとは異なり、手作業で糸組みを設定したジャカード柄は、80年代DCやパワースーツのVゾーンを思わせます。現代のインラインモデルでは登場しない色柄を選びながら、タグも当時のものを復刻するこだわりよう。他にも＜ブリューワー＞や、＜フランコバッシ＞など人気ブランドが、アーカイブ柄を提供しています。

ネクタイトレンド3：個性を引き立てるミドルスケールの小紋

 

ネクタイの柄はここ数シーズン、大柄の人気が継続していましたが、今季はやや控えめのミドルスケールに移ってきました。先ほど紹介したアーカイブ柄のペイズリーや小紋のような1.5～2.0cm径から、こちらで紹介している1センチ径まで幅はありますが、柄のスケールだけでなく地色の分量が多いピッチスケールも、これまでとは少し違うポイントです。 

ミラノの＜アルテア＞、ナポリの＜フランチェスコ・マリーノ＞など、イタリア小紋も従来の精細な小径ではなく、ミドルスケールの花柄をチョイス。色味も前出したニュアンスカラーを伴ってラインナップされています。これまでのスモールスケール小紋より、ややレトロな印象なので胸元でも個性が引き立つことでしょう。

 
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シャツトレンド1：クラシックながら“脱クラシコ”なドレスシャツ

 

ドレスシャツは長くイタリアの独壇場でした。衿型はワイドやカッタウェイ、衿芯はあくまでも柔らかく、「クラシコ・イタリアの系譜を継ぐハンドメイドこそがシャツの中のシャツ」と言われてきたのですが、ここへきてクラシックな薫りは健在ながらも“脱クラシコブランド”へと興味が移り始めているようです。衿羽根に付属するカラーキーパーに、懐かしさを覚える方もいるのではないでしょうか。

英国の＜ターンブル＆アッサー＞は、「ターンブルカット」といわれる独自のS字の衿羽根カーブが特徴です。ジャーミンストリートの＜バド＞は日本初登場。日本のクラフトシャツとして大阪・中之島のシャツ工房＜レスレストン＞をセレクトしているのも「脱クラシコ」という、今季のテーマ性を表しています。

 

シャツトレンド2：タイドアップもできるカジュアルシャツ

 

世界的なメンズスタイルのカジュアル化の大波のなか、ドレスクローズの装いは大きく変化しています。テーラードジャケットにノーネクタイでカジュアルシャツを合わせるのはもちろんのことですが、タイドアップする場合も、カジュアルシャツを選ぶのが今秋ならではと言えそうです。

これを見越して、多くのドレスシャツブランドがカジュアルシャツをリリースしています。ナポリの＜エリコ・フォルミコラ＞は剣先を丸めてレディス風エレガンスを感じさせるセミラウンドカラーシャツをリリース。ロンドンの新進気鋭のシャツメーカー＜ジェイクス＞が手掛けるアイビー風味のオックスフォードBDも、いち早く伊勢丹メンズ館に登場しています。

 

シャツトレンド3：ネクタイをもっと愉しめるカラードストライプ

 

Vゾーンメイクにはシャツとネクタイとの色合わせが肝心です。無地の白シャツでネクタイを際立てる着方もありますが、今秋はあえて色柄シャツを選んで組み合わせるのが好手といえそうです。その際、派手な色柄ではなく、あくまでベーシックカラーのストライプ柄や、単色ではない複数色のカラードストライプを選ぶのが良いでしょう。

 久しぶりにトレンドに登ってきたクレリックシャツは、＜エリコ・フォルミコラ＞から、タブカラー付きのものをピックアップ。ポーランドのシャツメーカーとして世界中の有力ショップが注目する＜エマニュエル・バーグ＞や、＜イセタンメンズ＞のオリジナルシャツからも、マルチカラーのストライプが選ばれています。

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装いの幅が広がった最旬Vゾーンコーディネートを紹介！

 

Vゾーンコーディネート1：ネイビースーツの胸元にはニュアンスカラーのネイビータイを

ドレスクローズの基本であり、ビジネススタイルのスタンダードであるネイビースーツには、スーツの色味に近いネイビータイや、コントラストカラーのネクタイ合わせが一般的です。ここに同系色でもややくすんだニュアンストーンのネイビーが今秋らしい合わせ方となります。「群青」や「鉄紺」、「二重緑」など日本の伝統色を思わせるカラーは日本人の肌色に似合ううえ、大人の落ち着きを漂わせます。額縁として無地の白シャツと組み合わせれば手持ちのネイビースーツの胸元に違和感なく収まるはずです。

Vゾーンコーディネート2：グレースーツを愉しむための英国紳士的な色柄遊び

フォーマルな印象もあるグレースーツは、つい正統派に着てしまいがちなもの。しかし無彩色のグレースーツは、Vゾーンを遊べる貴重なスーツでもあります。そこでアーカイブ調の色柄タイを選んで、今秋らしいクラシックな装いを究めてみました。シンプルなペイズリータイにシャツはあえてブルーストライプ。ネクタイのグレイッシュグリーンをスーツに溶け込ませつつ、シャツのブルーストライプがコントラストを添えています。こんな装いこそが、まるで正統と相対するロンドン・ジャーミンストリートの英国紳士風なのです。

Vゾーンコーディネート3：色柄とともに素材にも着目するミックスタイドアップ

ジャケパンスタイルのタイドアップは、パンツとの相性も重要なポイント。今回はイタリアンカジュアルなジャケットスタイルを目指して、ボトムズにトレンドでもあるトラッドな装いを想定したタイドアップを提案してみました。ネクタイはグレイッシュなピンクベースにミドルスケールの花柄小紋。素材はシルクで、イエローのボタンダウンシャツはオックスフォード。微起毛なカシミヤ混ジャケットとの立体的な素材感ミックスを狙ったところが新鮮です。ネクタイの小剣をずらす小技もこなれた印象を誘います。

 

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