2016.02.24 update

【インタビュー】写真作家・柏木龍馬(前編)|「ライカ T」で撮り下ろした7枚の美しく、儚い「Salomé(サロメ)」

愛機、ライカを持って世界を旅するチャーリー・ヴァイスが報道記者であった柏木龍馬氏と出会ったのは2003年のイスラエル。以来、チャーリーの念願だったネイビーのライカがついに「LEICA T “CHALIE VICE” Special Selection」として実現しました。さらに、チャーリー・ヴァイスのキーカラー、ネイビーを纏った「ライカ T」を使って「サロメ」をテーマに撮り下ろしてほしいというチャーリーの願いも同時に叶ったのです。
「LEICA T “CHALIE VICE” Special Selection」の販売と、柏木 龍馬氏フォトギャラリー「Salomé」は3月1日(火)までのご紹介となっています。


ライカTの扱いやすさが機動力を生む

――ついに“チャーリーカラー”の「ライカ T」が完成しました。柏木さんの印象はいかがでしょうか。

私も青は好きな色ですが、「ライカ T」のキャラクターに合っている青に仕上がったなと思います。遊びがあって、おしゃれで、大人の「ライカ T」ですね。

――柏木さんは、デビュー以来、長きに渡ってM型ライカを使用されてきたと聞いています。

はい、フィルム時代はライカM型(M6、M3、MP)、デジタルになってからM8、M8-2、M9を使ってきました。ライカは撮るのが楽しい機材ですが、自分は手が小さくて、特にデジタル機種は大きくてちょっと持て余していました。そんなときに「ライカ T」が発売されて気に入って、すべてのシステムをデジタルに変えました。現在は「ライカ T」ですべての作品をつくっています。


――「ライカ T」の魅力を教えてください。

大きさはバルナック型と同じで、厚みがフィルムのライカに近いのでコントロールしやすいのが一番の魅力ですね。この扱いやすさが機動力を生みます。


私の写真の根底には常にメッセージがあります

――今回は「LEICA T “CHALIE VICE” Special Selection」の発売を記念してオスカー・ワイルドの戯曲「Salomé」をイメージしたフォトギャラリーをTHE GALLERY by CHALIE VICEで開催しています。どれも印象的な構図の写真ですね。

私の仕事のうちシャッターを切るのは10%ぐらいで、その前に本を読んだり、資料を探したり、状況を作ったりしてコンテを描きます。ドキュメントでもコンテを創っていて、「この現場ではこんな画が撮れそうだ」という予測を立てていきます。事前に調べる量はかなり多いですね。


――なるほど。まず現場に出かけて撮って、後で組み立てるのかと思っていました。

APやロイターなどの通信社や新聞社のカメラマンはスピード勝負なので、現場で探して切りとっていきますが、私は常に画の根底に伝えたいメッセージがあって、そのための画を撮っていきます。

――でも、事前に用意していっても、現場では予測できない状況も生まれますよね。

そうですね。現場では想定を超えることが起きますが、全体の6~7割はコンテのストーリーに沿って、残りの3割はライブという感じでしょうか。文章でいう「起承転結」を組んでいって、リアルタイムは「転」に組み込んでいく感じです。


すべての画にいろんな動機が絡んでいます

――コンテを作成する利点はなんですか。

うーん、余計なシャッターを切らなくていい(笑)ことですね。私は画を撮るのは好きじゃないんです(笑)。単純な作業になってしまうので、極力シャッターを切りたくない。でも、ストーリーを作るのが好きなので、現場は楽しいです。設定があってその中で焼き付けていく。

――今回の「Salomé」もコンテがあるんですね。

全部で7点を展示していますが、1点だけライブです。今回はオスカー・ワイルドの戯曲をモチーフにして、「美しく儚い」をテーマにしていますが、たとえば、手と足の画は、エルサレムの第2神殿を示したカットとなっています。また、モデルが横たわっている写真は、ガリラヤの地形を示しています。モデルの腕とお腹の間の空間がガリガヤ湖で、脚の線でティベリア川を表現しています。



――そうやってお話を聞くと構図も興味深いですね。

モデルの右手と右足に赤のマニキュアを、左手と左足に青のマニキュアを彩った画は、サロメの登場人物を表しています。右手はサロメの動機、左手がヨハネの動機、右足がヘロデア(サロメの母)の動機、そして左足はヘロデの動機と、登場人物を1枚の写真に集約させています。さらに、チャーリー・ヴァイスのイメージカラーの赤と青、私の作画のテーマである青と、差し色の赤も示しています。


――なるほど。

画を見てもすぐにわからなくていいですが、今回の「Salomé」は、ラリックやエルテのような表現にしたかった。自分の作品テーマも「美しく儚い」なので、幾何学のように画を作っていきたい。画というのは、カメラという道具を使って自分の考えを導き出すものです。


インタビュー後編では、M型からライカTへ移行したお話や、5月のモデルシューティングイベントについてうかがいます。


Chalie Vice meets Ryoma Kashiwagi
仏語で「運命の女性」という意味をもつFemme fataleを題材にしたオスカー・ワイルドの戯曲「Salomé」。元々は新約聖書にある物語だが、その中でワイルドは美しい舞いを踊る少女に魅了され、フォーカスした。なぜなら彼女こそ“Femme fatale”だったのだ。実は僕の友人にもこの“サロメ”に魅せられた男がいる。写真作家・柏木龍馬。
イスラエルで彼が報道写真を撮っていたときに出会い、その後、彼がパリに拠点を移した後も僕は、彼の創りだす物語を読むような作品のファンの一人なのだ。
もしあなたがワイルドの「Salomé」を知らないなら、短いストーリーだからぜひ一度読んでみてほしい。このサロメという無垢な少女は、果たして善なのか悪なのか。いや、それを論じることに意味はなく、存在するのは「彼女が魅力的である」という事実のみ。そして、柏木龍馬は、作家として彼女のたどる数奇な物語を切りとる。美しく、儚く。


LEICA T “CHALIE VICE” Special Selection
□価格:313,200円(20セット限定)
□セット内容
■「LEICA T」カメラボディ(レンズ別売)
■YUHAKU レザー風呂敷(裏地:江戸小紋廣瀬 謹製)
■写真作家・柏木龍馬氏 作品(ポストカードサイズ)
【購入特典】柏木龍馬氏とのモデルシューティングイベント参加権(開催日程は5月下旬を予定)

*価格はすべて税込です。

Photo:Ozawa Tatsuya


柏木龍馬

1976年、静岡県に生まれる。写真家 故奥村嘉邦に師事。1999年、Newsweek誌カバーフォトにてデビュー、フォトジャーナリストとして活動を開始し、イスラエルを中心にドキュメンタリー・スペシャリストとして作品を発表。NATIONAL GEOGRAPHIC誌などの媒体を経て、2008年にパリを拠点とする。フランス・パリのギャラリー PHOTO 4/ LWSと専属作家契約を結び、写真作家へ転身。作品制作のテーマを「美しく儚い」に統一する。
LEICA OSKAR BARNACK PREIS 2009 トップ75、LEICA FOTOGRAFIE INTERNATIONAL 35mm Competition トップ25、2015年、ライカカメラ・ジャパンのサポートにより銀座三越で作品展「ginza troposphere」、代官山で作品展「LeMans classic/Racers」の展示を行う。

CHALIE VICE
チャーリー・ヴァイスは、いつも世界のどこかを旅している。世界中に才能ある友人たちがいる。人生を愉しむ術を知り尽くしている…。チャーリーを中心に集った友人たちと創りだす、人生を豊かにするモノ・コトをシェアする場所がCHALIE VICEというブランドです。彼が亭主を務める メンズ館8階=イセタンメンズレジデンス THE GALLERY by CHALIE VICEには、彼が幾つもの旅の中で得た「人生を愉しむ術」が集まります。
http://www.imn.jp/feature/chalie-vice


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