2015.12.08 update

英国ウィーク|【レポート】Be an English Gentlemen Vol.1


11月に開催された英国ウィークとキャンペーン・フォー・ウール。その目玉としてTHE GALLERY by CHALIE VICEにてトークショー、「Be an English Gentlemen」が行われた。BLBG(ブリティッシュ・ラグジュアリーブランド・グループ)株式会社 代表取締役の田窪 寿保氏、服飾史家の中野 香織氏、そしてMR.CLASSICの異名をとる<ハケット ロンドン>創設者 ジェレミー・ハケット氏が興の赴くまま、ジェントルマンについて語り合った。


田窪
本日はお忙しいなか、われわれのトークショーにお越しいただき、ありがとうございます。アメリカが好きでこの世界に入りましたが、気づけばイギリスとは25年以上の付き合いに。まずは英国でMR.CLASSICと呼ばれるジェレミー・ハケットさんを紹介します。今日の朝、成田に到着したばかりです。


ジェレミー
夜の7時は紳士にとってお酒を呑む時間です。まずは乾杯しましょう(笑)。

――来場者に笑みがこぼれ、三々五々、グラスに口をつける。

田窪 もう一方は、ダンディズムの女神、といえばの中野香織さんです。

中野 (笑)。本日はお酒を呑みながらのイベントですから、難しい話はやめにして楽しく過ごせればと思っております。

田窪 つづきましてシークレット・ゲストを。フォックス・ブラザーズ社社長のダグラス・コルドーさんです。


ダグラス
今回はウール・ウィークのタイミングで来日しています。イギリスのウールの魅力を知らしめるこのような機会を与えていただいて感謝しております。フランネルの代名詞といわれるフォックス・ブラザーズ社ですが、いまの当社があるのはジェレミーの存在があってこそ。われわれはあくまでベーシックなモノづくりを心がけてきただけで、ファッショナブルな価値観を与えてくれたのがジェレミーなのです。オーストラリアに水をあけられていたイギリスがもう一度見直されるきっかけをつくってくれました。

田窪
もうひとりがキャンペーン・フォー・ウールのCOO、ピーター・アクロイドさん。

 


ピーター
ダグラスもいうように、プライベートでも親交があるジェレミーの貢献は計り知れません。イセタンメンズのためにつくられた特別なモデルも素晴らしい、の一言。それ以外の言葉がみつかりません。

ジェレミー
わたしはウールのスーツから生まれた男ですからね(笑)。




とびきりの着巧者はジェントルマンではない

田窪
ちょうど映画007の最新作『スペクター』の公開直前ということもありますし、本日はジェームズ・ボンドを肴に一杯呑りたいと思います。このサロン(THE GALLERY by CHALIE VICE)の主であるチャーリーと英国紳士について語るとき、必ずといっていいほど話の種となる男。かれははたしてジェントルマンなのか。


ジェレミー
まずはジェントルマンの定義をしなければならないでしょう。ジェントルマンにはいろんなレイヤーがあります。ウェルドレスであることは肝要ですが、いくらいいスーツを着ていてもバッドマナーではジェントルマンとはいえません。ジェントルマンは、中身が大切なのです。着こなしだけでなく、人間性も磨かなければならない。

田窪
おっしゃるとおりですね。

ジェレミー 装いに言及するならば、マネキンに着せた服をそっくりそのまま買ってしまう行為はアン・ジェントルマン。自分なりのスタイルを確立する必要があります。日本人は自分たちを没個性と思っているようだけれど、そんなことはありません。上手に着こなしていますよ。それはひとえにルールをもっているから。

田窪 うれしいコメント、ありがとうございます。



ジェレミー
ここでクエスチョンをひとつ。ジェントルマンズ・クラブが軒を連ねるセント・ジェームス通りには洒落た紳士があふれています。さて、通りを歩くふたりの紳士がいたとしましょう。うちひとりはその街の男たちもみとめるとびきりの着巧者でした。どちらがジェントルマンですか。

田窪
NOT TO BE NOTICED――ブランメルの言葉でいえば、振り返られてはダメですよ、ということですね。紳士は控えめで、目立たないことを美徳とするべきです。

ジェレミー 一流のレストランでディナーを楽しんだとか、相手はプリンスだったとか、そういった自慢話も厳に慎むべきです。

田窪 プリンスとはチャールズのことですね。あえてその名を出さないのもジェントルマンの教養ですね。

中野 ヘンリー王子がワーキングクラスの言葉遣いを真似るのも根は一緒でしょう。

ジェレミー そして残念なことに、わたしは四六時中格好よくみられたいと願っているんです(笑)。



田窪
着る直前までとことん悩んで、着た瞬間から服のことを忘れてしまうのがいいとハーディ・エイミスはいっていましたが、それですね。考えていないようにみせかけて、そのじつ考えまくっている、いびつな感じが面白い(笑)。

中野
15世紀のイタリア宮廷社会ではスプレッツァトゥーラがもてはやされました。技巧を隠した無造作な佇まいをよしとする精神性で、イギリスにわたってダンディズムに。それって現在のエフォートレスに通じますね。



Vol.2に続く

Text:Takegawa Kei
Photo:Fujii Taku