2016.12.04 update

【連載|私の愛用品】Vol.2 岡田洋一|ソックスから始めるオシャレの楽しみ、こだわることから愛が芽生える。

「愛用品を紹介させて!」とお願いして、岡田が持参したのは一同驚きの、エコバッグ一杯のロングホーズ。「家ではアクリルボックス10段分が全部ソックスです。スーツのときに履く無地のドレスタイプ、普段スニーカーを履くときのカジュアルソックス、それからシューズインタイプが2段、それとホーズですね」とこともなげに説明。バイヤーの愛用品、第2回は岡田洋一の“ソックス偏愛論”、ご堪能ください。

持参した大量のソックスを眺めながら、「ソックス用のアクリルボックスは…」と数え始め・・・取材はスタート。

そもそも、なぜソックスが好きなのか?


そもそもの始まりは、大学を卒業して入社したときに、先輩から「正統な男の着こなしの靴下はロングだ」「ワイシャツの下に肌着を着るな」と教えられてから、仕事でホーズを履くようになりました。

靴下は、1000円から自分の着こなしを変えられるアイテムで、ポケットチーフやネクタイより安価なのが魅力。今日は柄物のホーズを多く持ってきましたが、たとえばいつもの着こなしを赤のソックスに変えると、オシャレに見えたり、足元に気を遣っているように見えたり、さまざまな効果も生まれます。

毎日の洋服の選び方も「今日はこの靴下を履きたいな」と、靴下選びから始まって、パンツ、ジャケット、靴を選んでいきます。色柄のソックスが多いので、ジャケットは無地が多いですね。

柄では迷彩が大好きで、「一日1迷彩」必ず取り入れています。バイヤー時代にもよくバイイングしていましたが、迷彩はいろんなパターンがあり、規則正しくない柄なので、着こなしの全体を程良く中和してくれるのが魅力です。

<シーク>ロングホーズ 2,160円 商品を見る

ついに出会ってしまった、画期的なロングホーズ


ホーズは、その昔ブーツに合わせるためのロングの名残とか、短い丈のニッカボッカに合わせるなど諸説があって、日本では足を組んだときにすね毛を見せないという男のマナー上の理由などが語られます。

また、ソックスを好きな理由として、とても寒がりで足首が冷えるという体質的なものがあって、冬は靴下2枚履きもします。バイヤー時代には、靴下の中に履くパンストのような靴下が欲しくてメーカーと作ったことがありました。
素材にもこだわりがあって、これから冬に向かってのソックスなら、本当はカシミヤ入りなどを履きたいのですが、年間履けて、耐久性の高い、綿ナイロンを選ぶことが多いです。
これまでいろいろなソックスを履いてきて、やっぱりホーズが好きですが、ついに出会ってしまったのが、この<SEEK/シーク>のロングホーズです。

今の男の着こなしでテーパードパンツは定番ですが、「ふくらはぎ部が細すぎて、ソックスがまとわりつく」というお客さまの声を多くいただきます。
それを解消するのが、この<シーク>のホーズで、ふくらはぎ部が洋服の裏地に使われる滑りの良い素材のキュプラ素材の切り替えになっていて、パンツにまとわりつかず、蒸れにくいという画期的なもの。世界に通用するヒット商品になる予感がします。


岡田流、着こなしから洗濯方法まで、靴下の楽しみ方とは


ソックスの履き心地を左右するのはつま先の縫製で、特に繊細な素材のドレス向けソックスは、職人の手指しによって1目1目を合わせて縫製する「ハンドリンキング」のものを選ぶと、つま先にごろつきがなく快適に履くことができます。バイヤー時代に靴下工場を見学に行ってから、靴下の見方や扱い方が変わりましたね。

メンズ館の男性スタイリストを見ていると一年中シューズインを履いている人もいますが、パンツと靴を結ぶ肌色がきれいで、お気に入りの靴も映えるという利点があります。
今では、ソックス裏が起毛しているシューズインも売っていて、冬でもシューズインを履けますが、僕は寒がりなので靴下をしっかり履きます(笑)。

ソックス選びで悩んだときは「ネイビーの無地」ですね。黒靴にも茶靴に合うし、グレーのパンツにも、迷ったらネイビーです。できれば、気に入ったソックスを2~3セット買って、ローテーションで履いて、穴が開いたらスペアを履くと、長く楽しめます。


メンズ館地下1階=ソックスには、日本、英国、イタリアのソックスが揃っています。日本製のソックスはきれいに成形されて、耐久性も高い素晴らしいものが多いです。

英国は<CORGI/コーギー>や<JOHN SMEDLEY/ジョンスメドレー>、<PANTHERELLA/パンセレラ>などがあり、伝統的で真面目な作りが魅力です。イタリアは<GALLO/ガロ>、<red/レッド>、<MARCOLIANI/マルコリアーニ>などを扱っていますが、お薦めは色使いと発色の良いイタリア製です。

ソックスには国民性や好みが反映されていますが、イタリアのスーツにはイタリアのソックス、英国ジャケットには英国製、日本ブランドには日本のものと、国を合わせると、よりきれいな着こなしが楽しめますので、お試しいただきたいですね。

丸めてゴムが伸びてしまうのを防ぎつつ、柄も見やすく仕舞ってくださいと、取材班にも力説!

それから、ソックスの干し方法と収納の方法。洗濯して干すときは、靴下の口ゴムを上に干してください。つま先を上に干すと、洗剤の残りカスが下に落ちて、ゴムの劣化を早めます。また裏返して干すと、日光での色落ちを防げます。

収納は、履き口を畳んでグルッと丸めて入れるのは、ゴムが伸びるのでダメです!僕は両足揃えて丸めて収納しています。ネクタイも丸めて。


伊勢丹メンズ館で感じる、男のファッション


ソックスにこれほど興味を持ったのは、メンズ館の紳士肌着・靴下・ルームウェアのマネージャーを2年、バイヤーを2年務めたことが大きなきっかけですね。靴下や肌着の奥深さを知って大好きなものになりました。

新卒での入社は日本橋三越で、三越伊勢丹ホールディングスになって伊勢丹新宿店メンズ館に来ました。
就職活動のときの自分のテーマが、「日本が成長してきた要因は国民性にあり、日本の資源や資産を考えたとき、もっとも大切なのは“人”」だと思い、一人でも多くの人と人生の中で出会えるにはどうしたらいいかを考えて、ファッションが好きだったこともあり、百貨店を選びました。

性格的にも、いろんなモノに触れたい、出合いたいというミーハーなところもあって、衣食住の旬なものがたくさん揃う百貨店に興味がありました。三越を選んだのは、「ゆっくりお客さまとおつきあいができる」と思ったからです。

伊勢丹新宿店メンズ館に来て、三越との一番の違いは、「スピード感、編集力、商品の幅広さ」。
三越には、「いつ行っても、時代に流されない、変わらぬ良いモノ」がありますが、伊勢丹は、「時代の価値観に合わせた良いモノがあり、さらに次代のお客さまに合わせて変えていく力がある」。
現在は、メンズ館のプロモーションやECを担当していますが、伊勢丹は自分の性格に合っていると思います。


お金がかかる同世代の男性たちへ


同世代のアラフォーの男性は、家庭、育児、自分と、一番お金がかかる世代です。オシャレへのお金のやりくりも大変ですが、ソックスは安く楽しめるアイテムです。ファッションは自己満足だけではなく、人も楽しませるものですから、いくつになっても“時代感”は楽しんでほしい!

また、「奥さんが全部用意してくれるから、着るモノを考えなくて楽」という男性もお見受けしますが、自分から能動的に服を着ないと、それはユニフォームになります。

服を着ているのか、着せられているのか、毎日の服を着る行為が楽しいか、義務なのか。ソックス一つでもこだわりを持つと、毎日が楽しくなるはず。奥さまは、“一番身近な他人から見た印象”を教えてくれるので、意見は尊重しつつ、何を着るかは自分で考えたいものです。

服にお金をかけらないという人は、まず「一つの鉄板コーディネート」を持ってください。
たとえばネイビーのジャケットに、チャコールグレーのスラックスをベースにして、まずネクタイとポケットチーフと靴下を変えて楽しむ。次にボトムスを白パンにしたり、冬ならジレ(ベスト)を重ねたり、巻きもので変化をつけたり。

自分も服を買うときは、トレンドは意識しながらも、最低3年は着られることを基準にしています。
ファッションは、自分の人生をプラスにしてくれるもの。人として好印象に見えて損をすることは絶対にありません。自分と同世代のアラフォー男性を応援しています!


*価格はすべて、税込みです。

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メンズ館地下1階=肌着・靴下・ナイティ
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