2015.12.25 update

【インタビュー】マイケル・リンカ(Emanuel Berg/エマニュエル・バーグ マーケティングマネージャー)|世界一コスパに優れると言われる<エマニエル・バーグ>のシャツ


生地、作り、デザインを高い次元で融合させた一枚はビジネスマンの強い味方

「世界ナンバーワンのコストパフォーマンスを誇るシャツです」開口一番、三越伊勢丹の佐藤バイヤーからこの言葉が飛び出した。

そのシャツとは、<エマニュエル・バーグ>。ポーランドのシャツ専業ブランドだ。近年、「ピッティ・イマジネ・ウォモ」にも出展している同ブランドだが、いかんせんポーランドの服飾事情に我々日本人の馴染みは薄い。しかし、イタリア、英国、フランス、アメリカ、日本の一流シャツを数多く扱ってきた伊勢丹メンズで10年以上販売されてきた、この"ポーランド・シャツ"は生半可なものではないのだろう。

今回、トランクショーのために来日した<エマニュエル・バーグ>のマーケティング担当マイケル・リンカ氏に、同ブランドの魅力を伺った。


「1989年、<エマニュエル・バーグ>のアトリエはブランドの創業者にもあたる、ジャスロ・シュフルダによって創設されました。東欧・パルト海側の家族経営でスタートしたビジネスの現在は、年間70万枚ものシャツを生産しています。これらのシャツは、ドイツを輸出の拠点とし、ニューヨーク、ロサンゼルス、ロンドン、パリ、そして東京で取り扱われています」と流暢な英語で話すマイケル氏。聞けば米国での留学を経て、大学卒業後、<エマニュエル・バーグ>に入社したインターナショナルな男だ。


「我々のシャツで最も重要なのは首のフィッティングです。タフでいながらコンフォータブル。異なる特性を実現させるには襟や台襟と身頃とのバランス--デザイン、裁断、生地のバランスに注視する必要があります」

襟は、芯材を巻き込むように表裏のシャツ生地が縫われる。ふっくらとした襟の表情は他のシャツにはあまり見られないものだ。これによりソフトな肌触りを生むという。また、そのふっくらした表情により高級感も出る。また、鎖骨に適度に乗るように計算された襟、台襟、見頃のバランスにより、アンタイドでも首回りに立体感=高級感を呼ぶ。

「身頃も肌に直接縫い目が当たらないよう巻き縫いを施しています」

イタリア製高級シャツに見られる処理が至るところに施されている。また、襟型は84種、カフは34種、生地は700種ほどを用意。その組み合わせは1万以上になりますが、伊勢丹メンズでは2型のシャツを厳選している。


「伊勢丹メンズでは年間を通してオーダーも受け付けています。我々の自社工場は2000人の従業員がおり、一枚のシャツに30人ほどが携わります」

1cmにつき9mmのステッチで一本針によって縫われ、ボタンはスイスメイドの専用マシーンで正確に縫いつけられる。ハンドメイド信者は服に限らずどの分野にもいる。もちろん、それを否定するつもりはないが、重要なのは手であろうが、機械であろうが、正確に美しく、実用的に作られた物が正しいということではないだろうか。

「先ほど申し上げましたが、一枚のシャツに携わる人間は約30人。スタッフは、機械でシャツを仕上げますが、そこには正しさを見分ける目をもった人間が配されています。正確に、美しく、一日中着ていても疲れを感じさせないシャツを生み出そうとすることに熱心なのです」


<エマニュエル・バーグ>の創業は1989年。この年はポーランドにとって記念すべき年でもある。そう、社会主義から民主主義、自由経済へと大きく旗を振った年なのだ。1989年以前は、どんなに仕事をがんばっても“みな平等”という体制下だったのかもしれない。それがこの年以降は、努力は必ず報われる、という気概が生まれたのかもしれない。

いずれにせよ、<エマニュエル・バーグ>のシャツは丁寧に作られ、イタリア、英国、フランスのシャツに引けを取らないものとなっている。余談だが、同ブランドのシャツをワレサ(レフ・ヴァヴェンサ ポーランド共和国 第三共和制第2代大統領、ノーベル平和賞受賞者)も愛用していたという。

「生地は、トーマス・メイソンやスイス・アルモ・コレクションから仕入れ、ボタンはオーストラリアの真珠層から作られ、ラベルは織機で織り師によって作られることによって肌にやさしい仕上がりとなっています」

作りだけではなく、素材にもこだわっている。これだけのクオリティを誇りながら、価格は2万円以下。このシャツを着れば、冒頭の言葉が実感できるはずだ。

<エマニュエル・バーグ>マーケティング担当 マイケル・リンカ氏(左)と三越伊勢丹 シャツ&タイ 佐藤巧バイヤー(右)

 

Emanuel Berg/エマニュエル・バーグ

1989年、<エマニュエル・バーグ>のアトリエはブランドの創業者にもあたる、ジャスロ・シュフルダによってポーランドで創設。東欧・パルト海側の家族経営でスタートしたビジネスは、現在、年間70万枚ものシャツやブラウスを生産するまで成長。これらのシャツは、最高級のイタリア生地を使用し、クラシックなエレガンスを追求することで世界中のセレブ、紳士・淑女から信頼を得ています。


Text:Ogiyama Takashi
Photo:Ozawa Tatsuya

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